東芝は,青色レーザーを使う次世代大容量DVDフォーマット向けのディスクを試作した。同社が5月9日に明らかにしたもの。同ディスクは,東芝とNECがDVDの標準化団体DVDフォーラムに共同提案した新フォーマットをベースとする。片面2層構造で,データの書き換えが可能。記憶容量は36Gバイトある。「大量生産には既存のDVD製造設備に最小限の拡張を施すだけ済み,さらに記録容量を大幅に増やせる。これが新フォーマットの大きなメリットだ」(東芝)

 同フォーマットは2002年8月に提案され,現在DVDフォーラム内で検討を行っているという。読み出し専用と読み出し/書き込み両用のいずれにも対応する。波長の短い青色レーザーと,直径120mm,厚さ0.6mmの2枚のディスクを張り合わせた現行のDVD技術を使用している。

 記録容量は,読み出し専用の片面1層ディスクが15Gバイト,片面2層ディスクが30Gバイト。読み出し/書き込み両用の片面1層ディスクだと20Gバイトとなる。それに対し,現行の読み出し専用片面2層ディスクの記憶容量は8.5Gバイト。また,現行のDVDでは,読み出し/書き込み両用ディスクには片面1層方式しかなく,記憶容量は最大4.7Gバイトにとどまる。

 同社が試作したディスクは,同フォーマットをベースとする読み出し/書き込み両用の片面2層ディスク。ゲルマニウムとテルルの割合を多くしたゲルマニウム/アンチモン/テルル/ビスマス(GeSbTeBi)合金を記録層に採用し,信号処理性能とデータ消去性能を改善したという。同社では,「このディスクの規格を2003年後半にはDVDフォーラムに提案する」としている。

 同フォーマット用ディスクの生産には既存のDVDディスク製造設備を流用できるので,「新規投資がほとんど必要ない上,製造コストを最小限に抑えられる」(東芝)。「現行のCD/DVDディスクとの互換性がありカートリッジも不要なので,携帯機器用の薄型ドライブに最適」(同社)

 なお同社は,2003年5月11日から14日にかけてカナダのバンクーバで開催されるOptical Data Storage 2003で同ディスクを展示し,13日9時45分よりプレゼンテーションを行う。

◎関連記事
東芝とNECが次世代大容量DVDの新規格を提案,「30Gバイト記録でき,現行DVDとの互換性確保が容易」
米Microsoft,「Windowsの将来版で主要な書き込み可能DVDフォーマットすべてに対応」と発表
記録型DVD規格の団体DVD+RW Allianceに米マイクロソフトが参加
DVD+RW Allianceが4倍速のDVDレコーディングと直径8cmのメディア仕様を発表
日立,松下,ソニーなど9社が光ディスク規格「Blu-ray Disc」のライセンス供与を開始
ソニー,次世代の光ディスク規格Blu-ray Disc対応の製品を発表
「2003年DVDレコーダの売上高は10億ドル,2年後にはDVDプレーヤの売上高を抜く」と米調査
DVDの普及がリムーバブル・ストレージを変える

[発表資料へ]