米Microsoftは米国時間5月7日に,デジタル・エンタテインメントに関する取り組みを明らかにした。「消費者がデジタル・エンタテインメントを楽しめるパソコン,テレビ,携帯型メディア・プレーヤを手がけているハードウエア業界を支援する」(Microsoft社)としている。

 「Microsoft社とハードウエア業界は,パソコンと民生電子機器を組み合わせて,新たなレベルに高めようとしている。家庭内にデジタル・エンタテインメントを簡単に配信できるような革新的な製品が生まれるだろう。消費者は,最も気に入っているメディアでより多くの時間を過ごせるようなる」(Microsoft社Extended Windows Platform Group部門バイス・プレジデントのRick Thompson氏)

 Microsoft社は,取り組みの一環として注力している技術について説明した。主な内容は以下の通り。

・「Media Center TV」クライアントのプロトタイプ:「Windows XP Media Center Edition PC」を用いる。ディスプレイを設置しているあらゆる部屋にすぐれたデジタル・メディア体験を提供する。ユーザーは,テレビやパソコンで音楽を聴いたり,テレビ番組を録画したり,写真のスライドショーを閲覧することが可能

・コンテンツ・ディレクトリ・サービス:ハードウエア・メーカーは,パソコン向けメディア・ファイルを家庭内ネットワーク経由で再生する機能を備えた装置を簡単に開発できるようになる。Universal Plug and Play(UPnP)ForumのA/V Working Groupが策定した仕様をベースにする。対応装置は,メディア・ファイルとメタデータの両方にアクセスできる

・パソコンの音質向上を目的としたプログラム「Universal Audio Architecture(UAA)」:USBやIEEE 1394をはじめ,米Intelの次世代パソコン・オーディオ仕様「Azalia」(開発コード名)に対応した,Windows搭載パソコン向けドライバを提供する予定

・マルチメディア対応プロトコル「Media Transport Protocol(MTP)」:パソコンや携帯型メディア・プレーヤ間におけるデジタル・メディアの転送と管理を向上する。デバイス間の同期,プレイリスト管理,コンテンツ照合を可能にする

・松下電器産業と共同開発したデジタル・メディア規格「High-Performance Media Access Technology(HighMAT)」の拡張:松下と協力し,HighMATをすべての主要DVDフォーマットに対応させる。CDプレーヤ,カー・ステレオ,DVD装置といった民生機器とパソコン間で,デジタル・オーディオ,写真,ビデオ・ファイルをやりとりできるようにする。ちなみに松下は,1月に開催された消費者向け電子機器の展示会「2003 International Consumer Electronics Show(CES)」で,すでに「HighMAT 1.0」準拠のCDプレーヤやDVDプレーヤなど7モデルの製品を披露している。新たなHighMAT技術(オーディオと画像)に対応した松下製の民生電子機器は2003年5月末までに出荷を開始する見込み

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[発表資料(1)]
[発表資料(2)]