米IBMは,同社の64ビット・プロセサ「POWER4+」を搭載する新型サーバー「IBM eServer p690」「同p670」「同p655」を米国時間5月6日に発表した。
p690はハイ・エンドのUNIXサーバーで,IBM社では「従来製品に比べ性能を65%向上させた」と説明する。ミッド・レンジ・サーバーのp670は同製品の旧版よりも90%性能が高く,超高密度サーバーのp655は最高83%の性能向上を達成するという。
各サーバーの主な仕様は以下の通り。
・eServer p690:動作周波数1.7GHzのPOWER4+を搭載。1.5GHz版のプロセサにも対応可能。従来の2倍のクロック周波数567MHzで動作するメモリー,レベル3(L3)キャッシュ,従来の3倍近いI/O帯域幅を持つ新しいI/Oサブシステムを採用。さらに,プロセサ・レベルでこれまでの2倍のLPAR(Logical PARtitioning:論理区画)に対応する。複数のp690を連携させて動作することができ,1000個以上のプロセサを組み合わせての運用が可能。
・eServer p670:動作周波数1.5GHzのPOWER4+を搭載。そのほかはp690と同様の技術を採用している。
・eServer p655:動作周波数1.7GHzまたは1.5GHzのPOWER4+を搭載。新型のL3キャッシュ,I/Oサブシステム,メモリーを採用。1台動作時の最高演算速度は0.75テラFLOPS。
各製品が搭載するプロセサPOWER4+は,0.13μmの製造プロセスを用いており,1億8000万個以上のトランジスタを集積している。動作周波数1.2GHz,1.45GHz,1.5GHz,1.7GHzの製品を用意する。
p690およびp670は,2003年5月30日発売の予定。p655は2003年7月後半に利用可能とする。各サーバーの価格は,p690が49万3386ドルから(8ウエイ構成時),p670が19万411ドルから(4ウエイ構成時),p655が5万ドルから(4ウエイ構成時)。
また同社は同日,各サーバーで利用可能なオンデマンド機能/サービスについても発表した。主な内容は以下の通り。
・プロセサ動作の切り替え:p690,p670,p655において,処理の負荷などに応じてプロセサのオン/オフを切り替えられる
・メモリー容量の変更:必要に応じて4Gバイトのメモリーを利用できる
・試用後の購入:プロセサおよびメモリーの量を増やして無料で30日間試用できる。顧客はそのあいだに試験を実施し,増加分を継続的に利用するか,一時的な利用にとどめるかなどを判断できる
・ソフトウエア・オンデマンド:オンデマンドで利用可能なpSeriesサーバー用ソフトウエアの価格を2003年第3四半期中に発表する
◎関連記事
■米IBM,同社初のItanium 2ベースの4ウエイ・サーバー「eServer x450」を発表
■米AMD,64ビット・プロセサ「Opteron」を発表。米IBMなどが採用表明
■米IBMがIntelベースの16ウェイ・サーバー「eServer x440」を出荷
■米IBMが8ウエイUNIXサーバーを発表,新しいプロセサ「POWER4+」を搭載
■米IBMと米Akamaiが「WebSphere」向けオンデマンド・コンピューティングを提供
■米HP,CPUの利用量に応じて支払う従量課金制度を「Superdome」サーバーに適用
■HP,オンデマンドの拡張サービスをプロセサ以外にも拡大
■「ユーティリティ・コンピューティングに対する顧客の関心は高い」,と米IDC
[発表資料へ]