米HP(Hewlett-Packard)は,コンピュータ自身が適性を管理するコンピューティング構想の大企業向け戦略「Adaptive Enterprise」を米国時間5月6日,明らかにした。新たなサービスやソフトウエア,参照アーキテクチャからなる。「企業がIT環境や提携関係をより効率的に活用し,事業の変化を予測して,柔軟に対応できるようにする」(HP社)としている。
「我が社は(米Compaq Computerとの合併から),2つの大企業を統合する際のITの役割を学んだ。我が社の経験を生かし,サービスや技術,ロードマップとを組み合わせて,なんらかのレベルで変化の管理に取り組んでいる顧客に提供する」(HP社会長兼CEOのCarly Fiorina氏)
今回発表したAdaptive Enterprise戦略に基づく主なソフトウエアや技術は以下の通り。
・仮想化ソフトウエア「HP Virtual Server Environment」:作業の優先度に応じて,サーバー・リソースの使用をリアルタイムで最適化する。目的ベースのポリシー・エンジン「HP-UX Workload Manager v.2.1」により,リソース割り当てのポリシーを簡単に実装できる。HP-UX Workload Managerは,パーティショニング,クラスタリング,オンデマンドの容量変更といった仮想化機能と密に連携する。
・自己修復ソフトウエア「HP Software Self-healing Services for HP OpenView」:自己修復機能を備えたインフラ管理を可能にする。自己修復エンジンと,障害解析データ収集やシステム情報の収集,広範な解析実行,解決手段の提示,故障検出といった機能を組み合わせる。
・参照アーキテクチャ「Darwin Reference Architecture」:ビジネス・プロセスをITインフラに密接に結びつけるための枠組み。事業の変化に柔軟かつ自動的に対応するIT環境の構築を可能にする。
そのほか,アプリケーションやネットワーク・アーキテクチャの設計と実装手法を提供するサービス「Agility Assessment」「Adaptive Application Architecture」「Adaptive Network Architecture」,IT資産の統合や企業統合に向けた10種類のソリューションなども発表した。
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