米PricewaterhouseCoopers社は,「2003~2005年インテリジェント・リアルタイム・エンタープライズ」と題する技術予測レポートを米国時間5月6日に発表した。企業の意志決定を促進する技術,XMLを使って財務関連の情報をやり取りする標準規格「XBRL(eXtensible Business Reporting Language)」,ビジネス・インテリジェンス,サプライ・チェーンを管理する技術が発展するという。

 企業は,投資家から信用を取り戻すとともに米国企業改革法(Sarbanes-Oxley Act)などで課せられた新しい法的な要求事項に応えるために,財務情報をより速く,かつより理解しやすいように提供する努力をしている。

 「今回の技術予測では,企業がより効率的に情報管理を行ない,変化するビジネス状況により迅速に反応するための一連の技術を強調している。ビジネス界において,企業の透過性は引き続き議論の中心であり,企業にとってこれら機能の利用することは重要な刺激になる」(同社Global Technology Centre常務取締役のEric M. Berg氏)

 同レポートでは,XBRLを大きく取り上げている。同社によれば,同技術はこの先3~5年の間にビジネス情報を報告する手段として一般的に受け入れられ,ビジネス・レポートの出版工程が簡単になるという。

 企業がより速くかつ効率的に企業の意志決定を下すために,同レポートで論じているその他の技術は次の通り。

・ビジネス・インテリジェント・システム
 従来は集積された履歴データを処理していたが,リアル・タイムでそれぞれのトランザクションとビジネス工程の監視と管理を行なうまでに拡張された。重要なイベントの発生時,または振る舞いが予測通りではないときにアラートを生成できるようになる。主なパフォーマンス・インジケータを継続的に監視して,マネージャから最高財務責任者までそれぞれのニーズに合った項目をカスタマイズしてデジタル・ダッシュボードに状態を表示できる。

・ビジネス・インテグレーション技術
 前世代の複数のシステムを連携させるEAI(エンタープライズ・アプリケーション・インテグレーション)ミドルウエアに,プロセス・インテグレーション・サーバーが統合される。これは,ビジネス・プロセス理論の明確なモデルを使用し,短時間のトランザクションと平行して長時間に渡って実行されるトランザクションも処理できる。

・サプライ・チェーンのイベント管理機能
 受注状態,在庫レベルに加えて配達,出荷,製造などのサプライ・チェーンの情報をリアルタイムで提供する機能。これら機能は,RFID(無線ID)技術の成長に伴ってこの先2~3年で急速に普及する。同技術により,在庫がパレット,カートン,それぞれのユニットごとにタグ付けされ,電子的に読み取ることができる。

・XML使用の拡張
 拡張するXMLの使用により,企業内または企業間のビジネス工程を自動化するための仕様,標準の開発ベースが提供される。また,XMLはWebサービスのベースを提供し,最終的には現行のWebモデルに取って替わる。ソフトウエア・プログラム間の通信を自動化するため,人間の介入の必要なく情報へのアクセス,処理が可能になる。例えば,Webサービスにより,企業は財務分析プログラムによってXBRL形式の財務報告書を自動的に取り出すことができる。財務情報の検索やダウンロードが不要になる。

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