米Cypress Semiconductor,ドイツのInfineon Technologies AG,米Micron Technologyの3社は,携帯電話機向けのメモリー「CellularRAM」のサンプル品をリリースした。3社が米国時間5月5日に明らかにしたもの。サンプル品の記憶容量は32Mビットで,非同期およびバーストの両モードに対応しているという。

 CellularRAMは,3社が共同開発する擬似スタティックRAM(PSRAM)。DRAMと同じセル構造を採用しているが,ピン配置/パッケージ/動作電圧範囲などのインタフェースはSRAMに合わせてあり,携帯電話機で利用されている既存のSRAMとそのまま置き換えることができる。低コスト/高密度/低消費電力が特徴で,現行メモリーよりもビット単価が安いという。「こうした互換性のあるアーキテクチャにより,携帯電話機の設計者は容易にSRAMからCellularRAMへ移行できる」(3社)

 サンプル品のCellularRAMは,クロック周波数最大104MHz,初期遅延時間70ns,転送速度最高208Mバイト/s(1.5Gbps)で動作しているという。Intel W18やMicron Flash Burst互換のプロトコルなど標準的なバースト読み出し/書き込み動作に対応するほか,さまざまなI/O電圧で利用できる。

 3社は32Mビット版に加え,16Mビットおよび64Mビット版の開発も共同で進めるとする。ただしメモリーの製造はそれぞれ自社の設計/技術で実施することから,製品化などのスケジュールは異なる。各社の予定は以下の通り。

・Micron社:現時点では32Mビット版と64Mビット版のサンプル品を提供し,量産は2003年第3四半期と見込む

・Infineon社:現時点では32Mビット版のサンプル品を提供し,量産は2003年第3四半期と見込む

・Cypress社:2004年前半にサンプル品のリリースを予定する

 なお現在3社は,各社の製品の互換性を確保するため,サンプル品の最終動作確認に向け分析や試験を行っている。また,2004年後半の128Mビット版CellularRAMのサンプル品提供を目指し,共同作業を続けるという。

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