米IBMは,オンデマンド・コンピューティングに向けた一連の新製品や新技術を米国時間5月1日,発表した。「企業のコスト削減と生産性向上を支援する」(IBM社)としている。

 「ITインフラを合理化し,ビジネス・プロセスとITリソースを動的に連携させることを検討する企業が増えている。今日のITシステムは肥大化しており,利用効率の悪化が莫大な運用コストを生み,事業成長を妨げている」(IBM社)

 今回発表した製品や技術は,相互に連携する「インテグレーション(統合)」「バーチャライゼーション(仮想化)」「オートメーション(自動化)」機能を備え,企業が業界の変動に柔軟に対処できるようにする。主な内容は以下の通り。

・仮想化ソフトウエア「TotalStorage Virtualization」ファミリ。ネットワーク上の複雑なデータ管理を簡素化する。管理ポイントを一元化することにより,利用効率と生産性を高める。重要な顧客情報や財務情報を格納しているストレージ環境の運用と管理をより簡単に行えるようにする。「TotalStorage SAN Volume Controller」「TotalStorage SAN Integration Server」などからなる。

・「WebSphere」向けアプリケーション管理ソフトウエア「Server Allocation for WebSphere Application Server」。グリッド・コンピューティング機能をビジネス・アプリケーション管理に適用する。異なるサーバー上で,さまざまな利用形態にもとづいて稼働するアプリケーションを,同一の環境内として管理し,突然の変化にも対処する。WebSphereユーザー向けに,2003年第2四半期中に提供を開始する。

・自動プロビジョニング機能「Web Server Provisioning」。IBM社の自律コンピューティング戦略の一部と位置づける。ユーザーは状況に応じて即座にサーバーを切り替えたり追加することができる。必要なソフトウエアおよびハードウエア・リソースをすべて自動的に構成し,「IT運用の合理化,システム資源の最適化,管理コストの削減を実現する」(IBM社)。2003年第3四半期に利用可能にする。

 IBM社はまた,ITリソース購入の新たなオプションも発表した。

・「Open Infrastructure Offering」。顧客は,月額固定料金で必要なインフラのすべてまたは一部を購入できる。

・「Standby Capacity On Demand」。ブレード・サーバーやストレージ・システムを対象にする。顧客はシステムの一部費用を前払いし,半年単位で必要に応じてブレード・サーバーを追加購入できる。

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