XML関連の標準化団体Organization for the Advancement of Structured Information Standards(OASIS)のメンバーは,複数のWebサービスを協調動作させるためのビジネス・プロセス仕様を検討する技術委員会「OASIS Web Services Business Process Execution Language(WSBPEL)Technical Committee(TC)」を発足させた。OASISが米国時間4月29日に明らかにしたもの。

 同TCでは,米Microsoft,米IBM,米BEA Systemsが2002年8月に発表した「Business Process Execution Language for Web Services(BPEL4WS)」を基に仕様の開発を進めるとしている。これら3社にドイツのSAP AGを加えた4社は,2003年5月16日開催予定の同TCの初会合において,ロイヤルティ・フリーでBPEL4WSのバージョン1.1を正式提出する予定という。

 BPEL4WSはXMLベースのフロー言語で,ビジネス・プロセスをどのように組み合わせるかを定義し,それをWebサービスとして表現できる。異なる技術を使用している環境同士の相互接続も可能なので,1つの企業内のやり取りだけでなく,パートナや顧客など他社とのあいだでもビジネス・プロセスを実行できる。

 IBM社のDiane Jordan氏(同氏は同TC共同議長に就任)は,「ビジネスの現実問題を解決するには,ファイアウオールの内側で複数のWebサービス・アプリケーションを実行し,顧客/パートナ/サプライヤとやり取りするため複数のネットワークを越えて通信する必要があるだろう」と説明する。

 「BPEL4WSを使うと,内部および外部のWebサービスを時系列に並べたり連携させたりして,業務を処理できる。つまり,あるWebサービスの実行結果を次のWebサービスに反映できるので,複数のWebサービスを組み合わせて1つの作業を行える」(同氏)

 WSBPEL TCの主なメンバー企業は以下の通り。米Booz Allen Hamilton,BEA Systems社,米Commerce One,米E2open,米EDS,IBM社,Microsoft社,NEC,米Novell,SAP社,米SeeBeyond Technology,米Sybase,米Tibco Software,米Vignette,米Waveset Technologies。

 なお米メディアの報道(InfoWorld)によると,World Wide Web Consortium(W3C)もBPEL4WSと同様の目的を持つ仕様「Web Services Choreography Interface(WSCI)」の検討を行っている。これに関しOASISのWSBPEL TCは,W3Cとの協力関係を築く方針を表明したという。

 W3CのWSCIは,米Sun Microsystems,Business Process Management Initiative(BPMI.org),Commerce One社,富士通,米Intalio,アイルランドIONA,米Oracle,SAP社,SeeBeyond社などの企業/組織が支持している。ちなみにMicrosoft社はW3CのWSCI検討グループへの参加を辞退したが,W3Cと協調する姿勢を示すことで,OASISは「仕様策定作業をスムーズに進めたい」という意向を正式に打ち出したととれる。

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