スウェーデンのEricssonは,2003会計年度年第1四半期決算を現地時間4月29日発表した。売上高は259億クローナ(約31億5500万ドル)で,前年同期の370億クローナ(約45億800万ドル)から30%の減収となった。純損失は43億クローナ(約5億2400万ドル),前年同期の純損失30億クローナ(約3億6500万ドル)から赤字額が増加した。また,1株当たり損失は0.27クローナ(約0.03ドル)で前年同期から横ばいとなった。

■2003会計年度Q1業績と前年度比および前年比
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(単位:10億クローナ)    2003年Q1    2002年Q1   増減率   2002年Q4  増減率
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受注額                       27.1      41.9       -35%      30.7     -12%
売上高                       25.9      37.0       -30%      36.7     -30%
調整後の粗利率(%)         34.1%     31.7%        -      32.6%       -
調整後の営業利益             -3.4      -4.4         -       -2.3       -
調整後の純損失               -3.5      -5.2         -       -2.1       -
純損失                       -4.3      -3.0         -       -8.3       -
1株当たり損失               -0.27     -0.27         -      -0.58       -
融資前のキャッシュフロー      0.7      -4.1         -        1.6       -
従業員数(人)             60,940    82,012       -26%     64,621     -6%
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 受注額は271億クローナ(約33億200万ドル)で,前年同期の419億クローナ(約51億500万ドル)から35%減少,前期の307億クローナ(約37億4000万ドル)から12%減少した。また運転資金の削減に努め,融資前のキャッシュフローとして7億ドルを生みだした。

 Ericsson社社長兼CEOのCarl-Henric Svanberg氏は,「厳しい経済状況と,継続的なリストラにも関わらず,当社社員の士気は一向に衰えていない。短期的な見通しは不透明だが,長期的にはモバイル・システムの利便性や第3世代ネットワークの恩恵が,新規ユーザー獲得に貢献すると確信している」と述べた。

 さらに同氏は,今後の見通しについて次のようにつけ加えた。「売上高が伸びない場合でも利益を計上できるように,営業支出をさらに50億クローナ(約6億900万ドル),売上げ原価を80億クローナ(約9億7500万ドル)削減する計画だ。また,十分な流動資産を確保しているため,リストラ関連費用として見積もっている110億クローナ(約13億4000万ドル)も,比較的早く回収できるだろう」(同氏)

 GSM/WCDMAモバイル・システムの受注額は前年同期比12%減少。また,TDMA/PDCの受注額は前年同期比で約90%も減少し,システム売上高全体で占める割合が5%未満となった。

 同社によると,世界の携帯電話加入者は今後3年以内に,合計15億人を超えるという。今年度の新規加入者は1億6500万人~1億8000万人の範囲,携帯電話の販売台数は4億3000万台を越えるとみる。

 また同社は,「2003年中に,リストラ関連費用を除いた損益で,黒字回復を目指す。また第2四半期の売上高は,前期比でやや増加する見通し」としている。

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