ドイツのSuSE Linuxは,「SuSE Linux Enterprise Server」の「Carrier-Grade Linux(CGL)」版を米国時間4月29日発表した。UnitedLinuxをベースとし,「優れた性能,拡張性,可用性を備えたキャリア品質のアプリケーションを,標準的なモジュラ型通信プラットフォーム上で開発/導入できる」(同社)という。

 SuSE Linux Enterprise Server CGLの開発には,米Hewlett-Packard,米IBM,米Intelが協力した。Intel社製プロセサ搭載プラットフォームでの稼働を想定しており,リアルタイム・システムからバックエンド処理まで,幅広く対応できるという。また,「運用およびビジネス支援システム,ゲートウエイ,管理サーバー,次世代音声/データ/無線ソリューションといった高性能アプリケーションを,より迅速かつ経済的に導入できるようにする」(SuSE社)

 「ユーザーは,厳しい市場状況から,さまざまな用途で利用可能な柔軟性のあるコスト効率に優れたソリューションを求めている。もともと電気通信事業者向けに開発した製品だが,金融や小売りなどの分野の関心を集めている」(SuSE Linux社CEOのRichard Seibt氏)

 SuSE Linux Enterprise Server CGLは,データセンタや通信事業といった分野を中心に活動するLinux推進団体OSDLが策定した機能拡張用の推奨仕様「CGL」を採用している。CGL仕様の主な特徴は以下の通り。

・OS,アプリケーション,Ethernetやディスク装置などに,エラー検知機能,フェールオーバ機能を提供

・迅速なトラブル検出

・IPv6 RFC準拠

・IPv6サポートによる次世代ネットワーク対応,アドレス空間の拡張,ネットワーク,ホスト,サービスの自動検知および自動設定機能の向上

・MIPv6 RFCs準拠

・レイテンシの短縮

・RAID 0対応

・アプリケーションのプリ・ローディング

 SuSE Linux Enterprise Server CGLは,「SuSE Maintenance Program」に参加してる「SuSE Linux Enterprise Server 8」ユーザーに,サービス・パックとして無償提供する。

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