米AOL Time Warnerが米国時間4月23日に,2003年第1四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比6%増の100億ドルで,純利益は3億9600万ドル(希薄化後の1株当たり利益は9セント)。前年同期はFAS142号を適用した場合の純損失が542億ドル(1株当たり損失は12ドル25セント)だった。

 2003年第1四半期のEBITDA(利子,税金,減価償却費控除前利益)は20億ドルで前年同期と比べて14%増加。営業利益は12億ドルで,同9%増加した。

 会員による収入は前年同期比10%増の49億ドル。America Online(AOL)事業とCable事業の会員数が伸びた。コンテンツなどの収入は同11%増の33億ドルで,Filmed Entertainment事業とHBO事業が好調だった。広告収入は,同5%減の13億ドル。AOL事業とCable事業の広告が減り,Networks事業とPublishing事業の広告収入増加を相殺したかたちとなった。その他の収入は同21%減の4億7200万ドルだった。

 AOL Time Warner社CEOのDick Parsons氏は,「堅実な結果を出すことができた。順調に,2003年通期の業績とフリー・キャッシュ・フローの目標に向かっている」と述べた。同社は当期に米Hughesへの投資を売却するなど,負債削減計画を進めている。また,米Comedy Centralの株式の50%を米Viacomに売却することを,昨日明らかにしたばかりだ。

 AOL事業の売上高は22億ドルで前年同期比4%減少。会員による収入は同11%増加した。主な要因は,欧州の加入者増加と為替差益の影響,そして米国広帯域加入者の増加である。広告収入は同42%減少した。

 Cable事業の売上高は前年同期比9%増の18億ドル。会員による収入は同14%増加し,広告収入は同33%減少した。Filmed Entertainment事業の売上高は同11%増の24億ドル,Networks事業は同17%増の21億ドル,Music事業は同3%減の9億ドル,Publishing事業が同7%増の12億ドルとなった。

 2003年3月末時点のAOLサービスの会員数は,米国が2620万人,欧州が630万人,その他の地域が190万人である。米国と欧州は前年同期と比べて伸びているものの,当期中にそれぞれ28万9000人,6万3000人減少した。その他の地域では,前年同期と比べて73万3000人減り,前期からは46万5000人減少した。

 また同社は,2003年通期の業績見通しについて,「1月29日に発表した予測通り」(AOL Time Warner社)との見解を明らかにした。売上高は前年と比べて5%前後増加し,EBITDAの成長率は1ケタ台前半の見込み。また,AOL事業の売上高は前年から横這いで,EBITDAは前年比10%減少,広告収入は同35~45%落ち込むとみる。

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[発表資料(1)]
[発表資料(2)]