米IBMは,米General Dynamics Electric Boatからサプライ・チェーン・ネットワークの構築契約を獲得した。IBM社が米国時間4月21日に明らかにしたもの。契約期間は複数年で,Electric Boat社は登録ユーザー/サプライヤ/業務プロセスの数に応じた月額使用料をIBM社に支払う。IBM社では,「インターネットを使ったサプライ・チェーン・ネットワークの構築は,造船業界初の試み」とする。

 これによりIBM社は,Electric Boat社のサプライ・チェーンを自動化し,パートナ/サプライヤ/造船所を単一組織として接続するため,オンデマンド・コンピューティング・インフラを供給する。「Shipbuilding Partners and Suppliers(SPARS)」オンデマンド・サービスと呼ばれるこのインフラは,オープンで拡張可能なコンピューティング・アーキテクチャで構築するので,「Electric Boat社は,使用するコンピューティング・プラットフォームに関係なくユーザーや業務プロセスを迅速に追加できる」(IBM社)。

 IBM社は,「現行の造船サプライ・チェーンは膨大な紙の書類を使うため,非常に効率が悪い。当社の提供する新しい環境の目的は,この非効率を改善すること」と説明する。「同インフラを利用して,Electric Boat社向けサプライ・チェーン・ネットワークの運営/管理を行い,安全なWWW環境のなかでパートナやサプライヤを結びつける」(同社)

 SPARSオンデマンド・サービスに参加する造船所は,インストール/運営/システム管理/メンテナンス/サポートのほか,サプライヤ登録や文書管理など必要なサービスをすべて受けられる。

 なおIBM社とElectric Boat社の契約は,「米国の大手造船会社によるコンソーシアムNational Shipbuilding Research Program(NSRP)との協力で実現した初の商用サービス」(IBM社)であるという。NSRPでは,米海軍に納める軍艦建造コストの削減や米国の国際競争力向上につながる技術について,米国内で行われる造船関連の研究/開発活動を支援している。

 「造船会社とサプライヤ間のコラボレーションや情報交換を改善する技術を利用することで,米国の造船事業の効率を高められる。そして,Electric Boat社の米海軍向け潜水艦建造作業の迅速化に貢献できる」(IBM社)

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