「2003年に,大手金融サービス機関の42%が,リスク管理予算として50万ドル~250万ドルを費やす見通しだ」。米Gartnerは米国時間4月21日,金融サービス機関のリスク管理予算について調査した結果を発表した。

 「リスク管理は,金融サービス機関にとって常に懸念事項だった。しかし過去数年間でリスクがより深刻になり,リスク管理が複雑化しているめ,社内でその重要性がさらに高まっている」と,Gartner社副社長兼リサーチ・ディレクタのVincent Oliva氏は説明する。

 2003年に入ってから,これまで各部門が個別に行っていたリスク管理を,社内で一括して実施するようになりつつある。「リスク管理を全社的に行うようになったことで,社内のIT環境を根本から見直す動きが出ている。このため2005年まで,リスク管理インフラの構築は、金融サービス機関におけるIT投資対象のトップ3に入るだろう」(同氏)

 なおGartner社によると,全社的なリスク管理への取り組みに拍車をかけるのは,以下の三つの要素である。

・米国企業改革法(Sarbanes-Oxley Act)や金融サービス近代化法(Gramm-Leach-Bliley Financial Services Modernization Act)といった法規制の整備

・製品/サービスの多様化や事業のグローバル化による企業間および社内の相互関係の複雑化

・世界金融市場の混乱

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