米SONICblueのデジタル・ビデオ・レコーダ「ReplayTV」とMP3プレーヤ「Rio」の事業をディーアンドエムホールディングス(D&Mホールディングス)が買収する。SONICblue社とD&Mホールディングスが,それぞれ現地時間4月16日に明らかにしたもので,D&Mホールディングスが,カリフォルニア州サンノゼの米連邦破産裁判所で行われていたSONICblue社資産の競売に入札し,落札に成功したという。両事業の買収金額は3620万ドル,買収作業は10日間前後で完了すると見込んでいる。

 買収について,SONICblue社CEOのGregory Ballard氏は,「当社の歴史における苦難に満ちた“章”が終わり,両事業のより大きな成長に向けた新しい場面が始まる」とコメントする。「債権者に対して行うべきことはすべて済ませた。我々の製品は,市場で優位に競争を続けるだろう。ほとんどとはいえないが,多くの従業員はそのまま職場に残り,顧客もRioとReplayTVを使い続けられるはずだ」(同氏)

 一方D&MホールディングスCEO兼社長の株本辰夫氏は,「ReplayTVとRioは,うまく当社の既存製品系列を補完できる」と説明する。「ReplayTV/Rio事業の知的財産と技術力を当社製品全般に活用するとともに,収益性を高めていく」(同氏)

 この買収によりD&Mホールディングスは,SONICblue社の在庫,売掛金,知的財産,資本設備を買い取る。さらに,一部の契約関係と負債も引き継ぐ。Replay TVの全顧客も受け継ぎ,Replay TVおよびRio製品の開発/製造/販売を行う。なお両事業の過去12カ月間の売上高は,ReplayTVが約2200万ドル,Rioが約6200万ドルだった。

 D&Mホールディングスは,デノン(旧日本コロムビアのハードウエア事業部門)と日本マランツの持株会社。同社の米国子会社D&M Holdings U.S.の傘下にデジタル開発子会社「Digital Networks North America(DNNA)」を設立し,同社にReplayTV/Rio事業を統合するとしている。

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[発表資料(SONICblue社)]
[発表資料(D&Mホールディングス)]