米Microsoftは,携帯機器用OS「Windows CE」のソース・コード改変と改変後のコードの販売を可能とするライセンス・プログラム「Windows CE Shared Source Premium Licensing Program(CEP)」を米国時間4月9日に発表した。同社のソース・コード開示に関する取り組み「Shared Source Initiative(SSI)」の一環で,「コード改変/販売が可能となる初のWindows CE向けプログラム」(Microsoft社)という。

 CEPを利用すると,OEMメーカーや半導体ベンダー,システム・インテグレータなどは,Windows CEソース・コードの閲覧/改変が可能となるだけでなく,自社開発したWindows CE対応機器に改変したコードを搭載して販売できる。ただしMicrosoft社は,改変対象となる具体的なコードの内容など詳しい条件については明らかにしていない。

 同プログラムの目的について,同社は「画期的なWindows CEベース機器の開発を実現すること」と説明する。「(OEMなどは)自社製Windows CE向けソフトウエア/ハードウエアの最適化と差異化が可能となる。同プログラムには顧客からのフィードバックを得るための仕組みもあり,顧客やコミュニティとの協調をWindows CE製品の改善に役立てられるようにしてある」(同社)

 SSIについては,Microsoft社アドバンスト戦略&ポリシー担当上級副社長兼CTOのCraig Mundie氏が「顧客やコミュニティの声を参考にしてソース・コードの透明性を高め,顧客がMicrosoftベースのソリューションをさらに活用するための取り組み」と述べる。「Windows CEのソース・コード開示に対する要求と関心が高まっている状況下で,CEPは顧客のWindows CEプラットフォームの機能拡大/強化に対する要求に応えることができる。これにより,新たなビジネスと機会を業界にもたらす」(同氏)

 同社によると,英ARM,米bSQUARE,日立製作所,三菱電機,米MIPS Technologies,韓国Samsung ElectronicsがCEPに参加し,製品の開発を進めているという。なかでも日立は,CEPの元でソース・コード改変を施したWindows CE対応機器の出荷をすでに開始している。

 なお米メディアの報道(CNET News.com)によると,OEMなどはソース・コードを改変した製品を6カ月間だけ独占販売できるが,その後はMicrosoft社がロイヤルティ・フリーで改変部分を使用し,他社に提供するという。

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