米IBMは,旧式プログラムを新しい技術に置き換えて“スパゲッティ・コード”の問題解決を支援するサービス「Application Portfolio Management Services」と「Legacy Transformation Services」を米国時間4月10日,発表した。「数十年間も使い続けている古いアプリケーションの維持は,コストと手間が増す一方だ。当サービスで,この問題の解決を図る」(IBM社)

 コンピュータ業界では,数十年のあいだ使い続けられ,多くの改造が施されて混乱したソース・コードを,(スパゲティが絡み合った状態をイメージして)“スパゲッティ・コード”と呼んでいる。「こうしたプログラムは20年以上前,場合によっては,現役プログラマの多くがまだ生まれていない1964年から使われている」(同社)。しかし,主なクレジット・カードや株取引など世界中の業務処理の70%は,数十年前に開発したプログラムに,改造を加えつつ現在も利用しているという。

 IBM社Global Servicesの技術者であるKerrie Holley氏は,「たとえ平均ソフトウエア予算の80%が旧式システムの維持にかかるとしても,企業は毎日の業務に使用している古いアプリケーションを“捨てて交換する”というわけにはいかない」と説明する。「当社は,この20年間に肥大した“自社構築”システムと,Webサービスなどオープンな標準仕様をベースとする最新アプリケーションとの統合を支援する」(同氏)

 同社が発表した両サービスの概要は以下の通り。

・Application Portfolio Management Services:同社コンサルタントが企業の使用している全アプリケーションを調査し,企業の事業戦略を参考にどのアプリケーションを使用継続,廃棄,変更するか提案する。

・Legacy Transformation Services:Web環境へのアプリケーション統合/移行を支援するサービス。個別で,あるいは組み合わせて適用可能な複数のサービスで構成する。

 「Web対応アプリケーションやWebサービスなど,アプリケーションに関する長期計画の開発と実行を支援する。これにより,自己管理アプリケーションやグリッド・コンピューティングなどオープンな標準技術をベースとするオンデマンド・コンピューティング環境上で,eビジネスから恩恵を得られる状態に顧客を導く」(同氏)

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