米AT&T社は,会社の組織構成の合理化を行うことを米国時間4月9日に発表した。同社は,顧客へのサービス改善と意志決定の高速化を狙うとしている。

 同社は,2001年7月に無線通信事業のAT&T Wireless,2002年11月に高速通信およびCATV事業部門であるAT&T Broadbandを分割している。同社は,今回の合理化により,以前の持株会社の構造から,より顧客と市場を中心にした経営モデルへの変換を目指す。

 同社の会長兼CEOのDavid Dorman氏は,2002年11月の就任以来,同社をネットワーキングと電気通信サービス企業として成功させるという使命を明確にしていた。同氏は,同日発表された変更が,短期の財政目的ではなく長期的に企業分化を変化させる目標の一部であると強調している。

 「この構想は,前年のAT&T Broadband事業部門を分割する前から開始していた包括的な変換プロセスの重要な要素である。世界の一流企業に対して自社を比較して,優先順位が高い項目に我々のリソースを割り当ててきた」(同氏)

 経営陣の層を減らすことにより,同社のリーダーシップ・チームは顧客の要望を基に,より迅速な意志決定が可能になるという。経営陣の再編成は,役職の変更または解雇によって実施される。

 同社の顧客を中心としたビジネスに向けた変換の一部は次の通り。

・顧客経験全体を通じてエンド・ツー・エンドの責任をもたらすために,AT&T BusinessとAT&T Consumerの顧客サポート・チームを,それぞれの事業部門の長が直接サポートする新しい組織に昇進させる

・課金は,直接顧客に接する重要な要素なのでCustomer Service組織にBilling Operationsチームを入れる

・同社の重要な小売チャネルを統括して,顧客に接する営業組織下に置く

・すべての製品管理部門を単一の組織に統合して,顧客に同社の音声,データ,IP,管理サービスのシームレスな統合ソリューションを提供する

 また,今回発表された合理化により,AT&T Government Solutionsの社長を務めていたChris Rooney氏が,退職するKen Sichau氏に替わって販売部門を引き継ぐ。また,退職希望を出しているFrank Ianna氏に替わってReed Harrison氏が新しくNetwork Engineering and Operationsを指揮する。

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