「企業ポータル・サービスはナレッジ・マネジメント・サービスの中核となりつつある」---。米IDCが米国時間4月9日に,企業ポータル・サービス市場に関する調査結果を発表したもの。それによると,企業ではナレッジ・マネジメント用プログラムや技術の集約,拡張,導入用のプラットフォームとして企業ポータル・サービスを利用しているという。

 IDCは,「経済低迷とIT支出減少という厳しい状況にも関わらず,企業ポータル・サービスの世界支出は2003年に11億ドルを上回り,前年比23.7%増と予測する。年平均19.1%で成長し,2007年には23億ドル規模に達する。

 地域別にみた場合,米国が牽引する米大陸が2002年における世界支出の73%以上を占め,それに続く欧州/中東/アフリカ(EMEA)の割合は21.6%だった。現在アジア太平洋地域の割合が最も少ないが,「2007年には倍増し,最も高い成長率を記録する」(IDC)。

 IDCの企業ポータル・サービス調査担当上級アナリストのAlexander Motsenigos氏は,企業ポータル・サービスの急速な拡大の要因を,「今日の“複雑さの危機”とでも表現すべき障害の克服に役立つから」と分析する。「企業ポータルの基本的な目的は,従業員や顧客などあらゆる利害関係者と企業との関係を強化することにある。その結果,企業の価値を創造するダイナミックで生産的な状況が実現できる」(同氏)

 なおIDCはサービス・プロバイダ向けに,企業ポータル・サービスへの取り組み方とその理由を示している。概要は以下の通り。

・企業ガバナンス対策を行う:企業ポータル・サービスの実装を,部門単位から企業全体,さらにその外部へ拡大できる

・ユーザー自身が購入する:企業ポータル・サービスに関する取り組みの成功は,ユーザーがポータルの利便性に気付くかどうかにかかっている

・業務プロセスやITサービス技能に深く組み込む:ナレッジ・ワーカーは,ポータルを職務遂行に活用できる

・国際化/ローカライズを考慮する:企業ポータル・サービスの対象が広がる

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