米Microsoftは米国時間4月2日に,ハンドヘルド機用OSの最新版「Windows CE .NET 4.2」の中核となる新機能について明らかにした。Voice over IP(VoIP)機能の実装を視野に入れたものだという。カリフォルニア州サンノゼで開催中の「Spring 2003 Voice on the Net(VON)」で発表した。

 Windows CE .NET 4.2は,テレフォニ向けの統合GUI「Telephony User Interface(TUI)」のサンプル,VoIPアプリケーション・スイートおよびAPI用レイヤ「VoIP Application Interface Layer(VAIL)」,各種インフラ技術で構成する「Enterprise Infrastructure Integration」サービスを備える。

 OEMはTUIを簡単にカスタマイズしたり,拡張することが可能。VAILはSIP(Session Initiation Protocol)をサポートする。Enterprise Infrastructure Integrationサービスは,「.NET Compact Framework」に対応し,IP Security(IPSec)や802.11aなどの技術を取り入れている。

 Windows CE .NET 4.2のVoIP機能は,Microsoft社が3月にベータ版を公開した企業向けインスタント・メッセージング(IM)プラットフォーム「Greenwich」(開発コード名)と連携する。

 Microsoft社によると,米BCM Computers,カシオ計算機,日立製作所,NECインフロンティア,韓国のSamsung Electronics,米Symbol Technologies,台湾のTatungなどが,Windows CE .NET搭載のVoIP装置を開発するという。また,米AMD,英ARM,米Broadcom,米Conexant Systems,米Intel,米MIPS Technologies,米Texas Instrumentsなどのチップ・メーカーが,Windows CE .NET搭載VoIP装置向けのCPU最適化と参照ボード構築に取り組む予定である。

 「VoIPは通信業界に新たな事業機会をもたらす。Windows CE .NET 4.2の拡張性に優れた統合的なVoIP装置用プラットフォームで,OEMやネットワーク装置プロバイダはより速く手軽に機能豊富なデバイスを開発し,VoIPの利点をユーザーに提供することができる」(Microsoft社Embedded and Appliance Platforms Group部門ジェネラル・マネージャのTodd Warren氏)

 Windows CE .NET 4.2は2003年第2四半期にリリースする予定である。2003年後半には,OEMがWindows CE .NET 4.2を搭載したVoIP装置を出荷する見込み。

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