米Nucleus Researchは米国時間3月31日に,ドイツSAPの製品を使用するユーザーのROI(投資回収)について調査した結果を発表した。それによると,ソフトウエア費用の2倍以上をコンサルティング費用として投資した企業は,ROI(投資回収)を実現できない可能性が高い。一方,カスタマイズやコンサルティングの必要性が少なかった企業ほど,SAP社製品の恩恵を受けることができるという。
調査は,SAP社のERPシステムや個別モジュールを使用する企業21社を対象にインタビュー形式で実施,回答を得たもの。
調査対象企業の57%は,SAP社製アプリケーションを約3年間利用し,ライセンス料やコンサルティング費用として平均540万ドル以上投資したにも関わらず,ROIを実現できていない。これらの企業のネックとなったのは,ソリューションやインタフェースのカスタマイズとコンサルティングに要した高額な出費である。ソリューションの導入1回につき,平均360万ドル以上費やしている。
一方,SAP社製品によってROIを実現できたのは,生産性の向上,人員削減,運営管理の効率化,情報の整理,意思決定に必要な情報アクセスの向上などを達成した企業である。
Nucleus社リサーチ担当副社長のRebecca Wettemann氏は,「SAP社製品のユーザーの多くは,導入プロセスに時間を費やし過ぎている」と指摘する。「企業は,ソリューションやインタフェースのカスタマイズを過剰に行わず,本当に必要な機能を備えたソフトウエアを購入すれば,SAP社製品によって大きな恩恵を受けることができるだろう」(同氏)
◎関連記事
■独SAPが中小企業向けの「SAP Business One」米国版をリリース,米American Expressと提携
■「甘く見てはいけないCRMプロジェクトのコスト,企業は低く見積もり過ぎ」と米社
■米Sunと米KPMGが提携を強化,「ERP導入のコストとリスクを削減する」
■オービック,大企業向けERPを初投入
■中国の2工場にバーン製ERPパッケージを4カ月間で導入
■SAP CRMの新版が“EIP”へ進化
■「世界CRM市場は2002年から回復,2001年は全支出の38%以上が北米以外の市場」,米アバディーンの調査
■「2005年のCRMサービス市場は約2.4倍の1480億ドル規模に」,IDCの調査
[発表資料へ]