米IDGのCSO誌が米国時間3月26日,イラク戦争とセキュリティ対策に関する調査結果を発表した。それによると,回答者の63%が,米国は基幹インフラと国民をテロなどによる攻撃から守ることができないと感じている。

 この調査は企業の最高セキュリティ責任者(CSO)と上級セキュリティ幹部271人を対象に実施したもの。回答者の43%は,今後6カ月以内に米国内でテロ組織や大規模な実戦攻撃があると予測している。しかし興味深いことに,イラク戦争でセキュリティ投資を増やした企業は,全体の35%に留まった。

 「CSOはイラク戦争のはるかに前から,セキュリティ対策に注力している。多くの場合は対米同時多発テロ事件以前から対策を講じている。あらゆる業界が多額の費用を投じ,準備をしていながら,確信を持てないのは,潜在的な脅威が予測できないことや,テロリストの対象が広範囲におよぶ可能性があるという辛い現実を反映している」(CSO誌編集長のLew McCreary氏)

 米国政府が国家の危険度レベルを引き上げたことから,CSOは公私共にさまざまな予防措置を取っている。企業の50%がオフィスの引越しや従業員の分散などで,不測の事態に備えている。45%が,応急処置の予行演習やテストを行なったという。また,3日間分以上の食料と水を蓄えている企業は40%だった。

 一方,楽観的な意見もある。イラク戦争中,一般の航空機に乗ることに抵抗を感じていないと答えたCSOは78%。さらに60%は,イラク戦争が企業の収益にマイナスの影響を与えることはないとみている。

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