米Xerox社は,直接企業や家庭に高速光ファイバを低価格で提供するための新しい技術を,米国時間3月26日に発表した。同技術は,指先に乗るほど小さい単一のシリコン・チップ上でOptical MEMS(Micro Electro-Mechanical Systems)光スイッチとプレーナ光回路を統合したもの。これにより,既存の帯域幅のバリアを克服した。

 新しいスイッチは,現在一般的に使われているルーティング・デバイスR-OADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)の機能を提供することにより,光サービスの迅速な提供を可能にする。R-OADMデバイスは,新しいスイッチと比べてサイズと価格の面で10~100倍大きい。新しいスイッチでは,2×1.5cmにR-OADM機能をまとめて格納できる。

 現在,光ネットワーキング機器は,光ドメインから電子ドメインに切り替えなければならない。Xeroxの新しい技術は,すべて光ドメインで切り替えができる。電子ではなく,光の流れを制御するため,速く,小さく,また低価格になっている。

 導波路は,5~6ミクロンで人の髪の毛の10分の1の太さに該当する。Xerox MEMS導波路は,ミニチュアの電車用の線路のように,5つの導波路を切り替えて鏡ベースのMEMSスイッチの問題を回避する。

 MEMSスイッチと導波路は,単一の水晶シリコン・ウェハ上に作られる。オンチップの統合により,手動で異なる大きな光ファイバのコンポーネントを接続する必要がないため,これにまつわる複雑な問題を回避できる。また,Add/Drop Multiplexersのコンポーネントの製造,組み立て,パッケージに関わるコストとスペースも必要なくなる。

 同社は,同技術を商用化して,世界の光スイッチ市場の大手企業へのライセンス供与を予定している。

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