米Forrester Researchが米国時間3月25日に,高速インターネット接続が消費者行動と小売店に与える影響について調査した結果を発表した。ブロードバンドを利用する米国家庭は,2002年末には1900万世帯近くにのぼったが,2004年末には4000万世帯に拡大する見込みだ。これを受けて,オンライン小売店は消費者にアピールするような新しいオンライン販売スキルを開発する必要があるという。

 ブロードバンド接続により,消費者のオンライン滞在時間が増えている。その結果,製品の情報収集にかける時間が長くなり,オンライン支出が増加した。調査によると,昨年からブロードバンド接続を利用している消費者のうち20%が,ブロードバンド導入以来,オンライン支出が増えたと回答した。ブロードバンド接続を過去2~3年間利用している消費者では,この割合が48%に跳ね上がる。

 消費者が情報収集に長い時間をかける製品は,家電やコンピュータ・ハードウエアとソフトウエアだった。また,ブロードバンド接続なら購入する前にCDを試聴できるので,音楽などのメディア製品をオンライン購入する消費者が多い。逆に,ブロードバンド接続の恩恵を受けない製品は,オフィス用品だった。

 Forrester社は,「家庭の高速接続が消費者行動に変化をもたらすため,小売店はサービスをそれに対応させなければならない。より洗練されたリサーチ・ツールとオンライン・ヘルプを用意するべきだ」と指摘する。消費者がショッピングモールに買い物に行く前に,オンラインで在庫があるかどうかをチェックできる機能を用意しているのは,小売り事業者上位100社のうちわずか13%だけだ。しかし,ブロードバンド接続により,この種のサービスの需要がより高まるだろう。

 オンライン・ショッピングの時間帯も変化する。これまでは職場の高速接続を利用できるまで購入を待つ消費者が多く,水曜や木曜の午後2~5時のWWW閲覧が最も多かった。しかし,家庭で高速接続ができるようになったため,この傾向に変化が生じる。今後は,ある特定の時間帯にターゲットを絞った積極的なマーケティングを行なうべきである。

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