米In-Stat/MDRが米国時間3月19日に,オンライン・ゲーム市場に関する調査結果を発表した。それによると,2003年末のオンライン・ゲーム・ユーザー数はゲーム機所有者の10%程度で,プレイ時間は週5時間と比較的短いという。しかしその通信量は,米国バックボーン回線の5%以上を占めてしまう。

 In-Stat/MDR社上級アナリストのEric Mantion氏は,「オンライン・ゲームは実在する業界であり,実際に収入を得ることができ,関連企業に大きな影響をもたらす」とみる。「ほんの少しでも業界に関わる企業にとって最も大きな危険は,オンライン・ゲームを軽視することや,業界が成熟するまで計画を後回ししてしまうことだ。切磋琢磨している企業が多く存在し,業界は考えられているよりも早く成長する」(同氏)

 同社では,特にブロードバンド・サービス・プロバイダが危険な位置にあると指摘する。「(ブロードバンド・サービス・プロバイダが)直ちに行動を起こさない場合,短期的な側面では,運用しているネットワークが悪影響を受けるという事態が起こる。“オンライン・ゲーム市場には通信量が多い”という特性があるからだ。また長期的な側面では,収入増加の機会を失うことになる」(同社)

 そのほかの主な調査結果は以下の通り。

・2002年は,オンライン・ゲームの通信量が米国バックボーン回線の約9%を占めた。ゲーム・ユーザーが増えるにつれ,オンライン・ゲームに費やす時間も増える。同時に,ゲーム機の性能が向上することから,より高速な通信環境が求められるようになる

・3大ゲーム機メーカー(米Microsoft,ソニー,任天堂)は,いずれもオンライン・ゲーム戦略を持っている。そのなかでは,Microsoft社のXbox Liveが最も大規模。Xbox Liveは,現在,年間登録が必要な唯一のサービスだが,長期的な利益を得られる可能性のあるブロードバンド専用プログラムでもある

・有料/無料オンラン・ゲームのユーザーによる通信量は,2007年までに毎月285Pビットに達する。有料サービス登録による売上高は,6億5000万ドル弱になる

・2004年までは,無料オンライン・ゲームのユーザーの数が有料ユーザーよりも多いという状態が続く。しかし,2005年には,ゲーム機メーカーがプレイ量に応じた料金体系(pay-to-playモデル)を適用することから,これが逆転し,有料ユーザー数の方が多くなる

・2007年末までは,オンライン・ゲーム機市場は年平均9%で成長する。ただし,米国/日本/韓国などのブロードバンド回線利用率が高い地域では,この成長率より高いペースで普及が進む。

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