米GartnerのDataquestが米国時間3月17日に,2003年における世界ソフトウエア市場と今後の展望について調査した結果を発表した。それによると,市場は2003年に回復基調に入り,前年比3.5%増の761億ドル規模に達する見通しだ。2002年のソフトウエア市場は,前年比0.7%減の735億ドル規模だった。

 しかし,ソフトウエア・ベンダーにとって今後も厳しい状況が続く。「これまで抑制されていた需要の反動を期待したいところだが,企業は複数のベンダーをはかりにかけ,業務上の最優先事項を吟味したうえのみ,ソフトウエアを購入する。また,販売サイクルの長期化が進んでおり,ベンダーは利幅を最低ラインまで下げざるを得ないだろう」(Dataquest社Software Industry Researchグループ部門バイス・プレジデントのJoanne Correia氏)

 また,同社Software Industry Researchグループ部門バイス・プレジデントのThomas Topolinski氏は,「分野によって需要の格差がある。慎重を期すのであれば,ソフトウエア・ライセンスによる売上高は今後12カ月間,停滞するとみた方がよい」と警告した。

 Dataquest社は,企業による支出削減が続くことで,市場におけるベンダーの勢力図が変わると予測している。多様なソフトウエアを統合ソリューションとして提供し,複数分野で大きなシェアを獲得しているベンダーは,今後その勢力をさらに強める見通しだ。一方,売上高の大半を特定分野に依存するベンダーは,徐々に市場シェアを失う。

 企業は2003年~2004年にかけて,既存の資産を活用できる技術への投資を継続する。また,企業がソフトウエアを新たに購入する場合,ハードウエア,無線,Webサービスといった新しい技術への投資を同時に行う必要があるため,長期的および短期的なROI(投資回収率)の実現を重要視する。

◎関連記事
2002年の小売りソフト市場,売上高は前年比3.1%増,販売本数は同4.2%減 
パッケージ・ソフトの世界市場は2003年から回復,2006年まで年平均10~12%で成長
2002年上半期の小売りソフト市場は前年同期比5%成長,新OS登場と広帯域の普及で企業分野が急拡大
「2001年のソフト世界市場,成長率が昨年の半分以下に」と米データクエスト
「ソフトウエア業界は整理統合の時代へ」,米データクエストが分析
「企業向けシステム管理ソフト市場は2005年まで年平均12.5%で成長」と米IDC
「インテグレーション・ソフト市場でシェアを拡大中」,米ウェブメソッドが調査を引用
「今後6~12カ月の 企業のIT支出は平均2.7%増加」,米アバディーンの調査

[発表資料へ]