米IDCは米国時間3月12日に,パソコン用モニター製品に関する調査結果を発表した。それによると,2003年はLCDモニターの売上高が200億ドル以上に成長し,史上初めてCRTモニターのそれを上回るという。

 世界のパソコン用モニター市場は2001年から2002年にかけて,厳しい経済状況下にもかかわらず,0.7%成長した。これはLCDモニターへの本格的な移行が進んだためで,市場の見通しは今後も明るい。景気回復に伴うパソコン需要の回復,製品価格の下落などにより,2003年の総出荷台数は前年に比べ4.8%増加する,とIDCはみる。

 「LCD価格の下落が続いているため,パソコンにLCDモニターを組み合わせて提供するメーカーが増えている。ユーザーの多くは,色再現や反応時間,解像度の選択肢といったCRTの長所についてあまり理解していないため,LCDへの移行はスムーズに行なわれるだろう」(IDCアナリスト,Jennifer Gallo氏)

 モニター・サイズによる人気の違いも,価格の下落によって変化している。一般的に,ここ最近までは15インチ製品が今後の市場をけん引していくものと考えられていた。しかしIDCでは,「この傾向は2004年まで続くが,2005年には17インチ製品が市場の主流となる」と予測する。

 このほかの主な調査結果は以下の通り。

・多数の新しい製品ラインが市場に投入されるにつれ,製品の差異化が重要になる。

・CRTのメーカーは,競争力を保つためCRT製品の長所を訴える必要がある。

・パソコン・メーカーが自社ブランドのモニターをパソコンにバンドルするようになるため,スタンド・アローンのモニター市場は縮小する。

・2002年,全世界に占める米国のLCDモニター出荷台数は34.4%となった。アジア太平洋地域は同24.6%で,西欧から第2位の座を奪った。

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