米IBMが,アラスカ湾の鮭やホワイトフィッシュ(マスの一種)の生態を研究しているArctic Region Supercomputing Center(ARSC)にスーパーコンピュータを供給することを,米国時間3月14日に明らかにした。

 ARSCはIBM社から「Iceberg」と呼ぶスーパーコンピュータを導入し,海洋の潮流や水深と水中生物の生息情報を組み合わせた3次元モデルの作成に利用する。

 Icebergは,92台の「eServer p655」と2台の「eServer p690」で構成する。p655は「POWER4」マイクロプロセサを8個,p690は32個搭載する。OSには「AIX」を採用し,IBM社のクラスタ技術を用いてサーバー間を接続する。

 「Icebergは,当センターで最も性能の高いスーパーコンピュータの一つとなる。数テラFLOPSの計算能力を要するテストやシミュレーションを実行し,科学者や研究者が水生環境の変化や生態系をより詳しく把握できるよう役立てる」(ARSCディレクタのFrank Williams氏)

 ARSCはIcebergを,バイオ・インフォマティクス,地球の気象変化,海洋循環,銀河形成,氷海工学などの研究にも利用する計画である。

 米メディア(CNET News.com)の報道によると,スーパーコンピュータ供給の取引規模は1500万ドルを上まわるという。

 またIBM社は,米IDCの調査結果を引用し,「2002年第4四半期におけるスーパーコンピュータ・メーカーの首位に立った」とする発表を同日行った。IDCの調査によると,2002年第4四半期の高性能コンピュータ市場で,IBM社は売上高ベースで36.7%のシェアを獲得した。

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