米Dolby Laboratoriesと米Texas Instruments(TI)が,IEEE 1394を備えるパソコンとS/PDIF端子付きホーム・シアター・システムを接続するコンバータの設計/開発に共同で出資したと,米国時間3月13日に発表した。コンバータの開発は,米Island Digital Media Groupがあたった。

 S/PDIFは,ソニーとオランダのRoyal Philips Electronicsが提唱したデジタル・オーディオ用インタフェース規格。現在多くの家庭用オーディオ機器が,同規格対応の端子を備えている。一方IEEE 1394は,パソコン/デジタル・テレビ/AV機器/プリンタなどを接続するための通信規格で,1本のケーブルでビデオ/オーディオ/MIDI/機器制御コマンド/パソコンのデータなど異なるデジタル信号をやり取りできる。FirewireやiLinkなどとも呼ばれる。

 Dolby Laboratories社によると,「IEEE 1394対応AV機器も登場しつつあるが,大部分の家庭用製品は依然としてデジタル・オーディオ接続にS/PDIF端子が必要」という。「それに対しパソコンは,S/PDIF端子よりもIEEE 1394を採用する場合がほとんどだ。そのため,パソコンで再生したDVDのサウンドトラックなどのデジタル・オーディオを,AV機器に送るのが難しかった」(同社)

 Dolby Laboratories社とTI社が開発支援したFirewire―S/PDIFコンバータを使用すると,IEEE 1394機器ネットワークからS/PDIF対応機器にDolby DigitalやPCMオーディオを送信できるようになる。「パソコンで,一般的なステレオやMP3/AAC/WMAなど5.1チャンネルのコンピュータ音楽ファイルを再生し,ホーム・シアター・システムに送れる」(Dolby Laboratories社)

 同コンバータの形状は,一方にIEEE 1394端子を,反対側に同軸S/PDIFを備えている。IEEE 1394ケーブルから電源が供給される場合は,ほかにケーブルを接続する必要はない。また,必要に応じて外部DC電力を供給できる。信号は,TI社のLSI「iceLynx-micro(TSB43CB43A)」で処理している。

 「テレビ用の画像出力機能がエンタテインメント・パソコンに付いたのは,もう何年も前のことだ。ここに来てやっと,(パソコンで再生した)高品位ステレオや5.1チャンネル・サラウンド・オーディオをホーム・シアター・システムで楽しめるようになった」(Dolby Laboratories社技術戦略担当ディレクタのBob Brummer氏)

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