ドイツのSAP AG,米Hewlett-Packard(HP),英Vodafoneが大企業向けモバイル・ソリューション・スイートの提供で協力する計画を,ドイツのハノーバーで現地時間3月12日に発表した。「従業員の生産性を向上させるためのモバイル機能を,まず欧州/中東/アフリカ(EMEA)地域の企業に提供する」(SAP社)としている。

 計画では,SAP社の「mySAP Mobile Business」,HP社のサーバーおよびモバイル機器,Vodafone社の企業向け接続ソリューションを組み合わせる。その結果,「フィールド・セールス/サービス担当者のモバイル化を迅速に進められるようになる」(SAP社)。

 HP社アライアンス&ソリューションズEMEA担当副社長のStephanie Perrin氏は,「企業では,情報モバイル化の際にインフラ増設を避けたがる」と説明する。「既存システム内の正確な情報へのアクセスを共有し,意思決定を改善/迅速化できるモバイル・ソリューションを求めている」(同氏)

 SAP社は,mySAP Mobile Businessソリューションの提供を予定している。同ソリューションを導入すると,企業は共通プラットフォームと既存シナリオを使って既存資産をモバイル化できるという。

 それに対しHP社は,同ソリューション・スイートのフロント・エンドとして,「iPAQ Pocket PC」,ノート・パソコン,タブレットPC,携帯用プリンタを用意する。これら製品は,すでにSAP社のソリューションと組み合わせて運用可能という。さらにHP社は,SAP社ソリューションに最適化させた「ProLiant」, Itanium 2ベースの各種サーバー,「Superdome」,「AlphaServer」を,インフラ・プラットフォームとして提供する。また同社のサービス部門HP Servicesが,コンサルティング/インテグレーション,サポート,サービス・オプション提供を担当する。

 Vodafone社とHP社は,ドイツのハノーバーで2003年3月12日~19日に開催されるCeBITで,同ソリューション・スイートの第1段階の試作品をデモンストレーションする。ただし3社は,製品版の提供時期や価格について明らかにしていない。

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