米EMCがドイツのハノーバーで現地時間3月12日に,ATA/ファイバ・チャネル・ハード・ディスク装置対応のストレージ・システム「CLARiiON with ATA」を発表した。

 ネットワーク対応CLARiiONストレージ・システムは,価格の安いATAハード・ディスク装置を既存のストレージ・アーキテクチャに統合できる。「これまでバックアップ・テープを使ってオフライン保存していたデータをオンライン化し,データの活用期間を伸ばせる」(EMC社)

 同社によると,これまでディスク・ベースのストレージは高価だったため,データの大部分はオフライン化して保存する必要があったという。そのため,「ほとんどの情報資産にとって,提供可能なサービスのレベルが実質的に低下していた」(同社)。

「CLARiiONアーキテクチャをATA技術に対応させたことで,より多くの情報をSANやNASのオンライン環境に移せる。その結果,システムの可用性と機能を向上させ,サービスの質を大きく改善できる」(同社)

 同社では,「CLARiiON with ATAの定価はテープ・バックアップ装置に比べ高いが,性能と信頼性の面ではるかに優れている」と説明する。たとえば,一般的な環境で比較すると,CLARiiON with ATAのバックアップ時間はテープに比べ3分の1以下,復元時間は80%短く済むという。

 「情報はすべてオンライン化しておきたいものだ。当社はATAの経済性と集積性を,CLARiiONアーキテクチャの高可用性と組み合わせることで,これを実現した」(EMC社ストレージ・プラットフォーム部門担当上級副社長のDavid Donatelli氏)

 また同社は,バックアップ/復元アプリケーション「EMC Data Manager(EDM)」とCLARiiON with ATAを統合したことも明らかにした。

 CLARiiON with ATAシステムは,直ちに利用可能とする。「CLARiiON CX600」および「同CX400」を,直ちに250Gバイト/5400rpmのATAハード・ディスク装置に対応させる。記憶容量10Tバイト構成のCLARiiON with ATAの定価は,17万ドルから。

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