米Dell Computerは,欧州の大学や企業に対する高性能コンピューティング・クラスタ(HPCC)の導入実績を米国時間3月11日に発表した。

 HPCCは,標準的なサーバーを使って構築する。数万台のサーバーを接続し,強力な単一の演算エンジンとして機能させる。「標準的な既存製品を利用しているので,演算需要の増加に合わせ,新しい技術を使って簡単にクラスタを拡張できる」(Dell社)

 HPCCについて,Dell社欧州/中東/アフリカ企業システム・グループ&サービス担当副社長のWalid Moneimne氏は,「顧客が高度なコンピューティング計画を実行するのに,業界標準ハードウエアをどう活用しているかを示す好例」と説明する。「“自分たちの使う高度なアプリケーションにとって,標準ベースの技術が性能と価格の面で有利”,ということを理解する企業組織や教育機関が増えている」(同氏)

 同社のHPCCシステムを導入する主な大学/企業は以下の通り。

・英Oxford University:4台の10ノード構成クラスタを購入し,素粒子物理の研究に利用する。使用するサーバーは「2650 PowerEdge」,OSはRedHat Linux。RAIDストレージ装置「PowerVault 220」を16台接続し,7Tバイトのストレージ容量を提供する。

・アイルランドのUniversity College Cork:50台の「Dell PowerEdge 1655MC」モジュラ・サーバーで構成されるHPCCソリューションを購入。各サーバーには,2つのプロセサと1Gバイトのメモリーを搭載する。

・フランスのCompagnie Generale de Geophysique:現在運用中のHPCCシステムの拡張を計画中。同システムは,RedHat Linuxの動作するPowerEdgeサーバー512台を組み合わせたもの。世界各地の新油田発見に関するデータ処理に利用している。

・ドイツのMTU Aero Engines:既存の64ノードHPCCシステムに96ノード構成のクラスタを追加した。ジェット・エンジンの空気力学的シミュレーションに使う。

・イタリアのEnel:「PowerEdge 2650」16台によるクラスタを導入。導入には米Crayのイタリア法人が協力した。発電所の燃料利用効率を高め,排出物をできるだけ削減するためのモデリングを行う数値流体力学アプリケーション,Fluentの実行に利用する。

 なおDell社によると,2002年11月時点のスーパーコンピュータ・ランキング・トップ500に同社製クラスタが9システム入り,そのうち4システムはトップ100以内にランクされたという。

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[発表資料(HPCCの導入実績)]
[発表資料(Oxford UniversityのHPCCシステム)]