「CRMアプリケーションを実装する企業が挙げるもっとも一般的な利点は経費削減だが,企業が購入したソフトウエア・ライセンスの41.9%は使われない」。米Gartner社が米国時間3月6日に発表した。

 「必要以上のソフトウエア・ライセンスの購入は,短期的には賢明な投資に見えるが,長期的には経費がかさむ。2005年までの間,必要以上のCRMソフトウエア・ライセンスを購入し続ける企業は,ライセンス購入を計画的に行った企業と比べてTCOが20~30%増しになる」(同社のリサーチ・ディレクタのBeth Eisenfeld氏)。

 同社によれば,企業は次の3つの中のいずれかの理由で必要以上のライセンスを購入している。

 最初の理由は,初期購入で購入数を増加すると,ソフトウエア・ベンダーから大きな割り引きが受けられることにある。また,2番目の理由は,ソフトウエア・ベンダーが市場において新しいモジュールの地位確立を望み,余分にライセンスを購入する企業に対してライセンス使用料の割り引きを行うか,モジュールを無償もしくは大幅に価格を割り引いて提供していることにある。3番目の理由は,ベンダーが企業に対して,後に必要になったときに購入するよりも今購入しておいた方が経費がかからない,と言って誘惑していることが挙げられる。

 「企業は,計画した実装に向けて余分なライセンスは必要ないかもしれないが,将来的にモジュールが必要になるかもしれないと信じているので,経済的な側面を理解せずにオファーを受けてしまう」(同氏)

 同社は,すべてのCRMアプリケーションが均一レベルの利点を提供するわけではないので,CRM戦略の利点を追求する企業は,特定のCRMツールに的を絞るべきであるとアドバイスしている。もっとも適切なCRMアプリケーションを注意深く選択し,求める利用法に合わせ,適切なライセンス数を購入した企業は,むやみにCRMアプリケーションを実装した企業よりもCRM投資の回収が早いとしている。

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