米In-Stat/MDRは,米国におけるケーブル・テレビ(CATV)事業者に関する調査結果を発表した。米国のCATV事業者は,新しい双方向型デジタル・ケーブル・サービス提供に向けてインフラのアップグレードを行ってきたが,その長期的なプロジェクトがついに終盤に近づいてきたことが明らかになった。回答者は,ほとんどの帯域幅のアップグレードが完了しており,アップグレードしたシステムを通じて提供する新しいサービスに注力していると答えている。

 回答者のほぼ90%が既にデジタル・ビデオのプログラミング・サービスを提供しており,ほぼ同じ割合の事業者がケーブル・モデムによる高速データ・サービスを提供している。事業者は,地域の加入者から特に要望が高いビデオ・オン・デマンド(VOD)とHDTVサービスの配備を予定している。テレフォニ・サービス,インタラクティブなデジタル・ビデオ製品,高速データ通信をバンドルしたCATVの「トリプル・プレイ」も業績をあげ始めている。

 その他の主な結果は次の通り。

・VODは価値が高い新サービスの1つ。回答者の28%がVODサービスを配備しており,20%が2003年末までにサービス提供を計画している。

・回答者の58%のCATVシステムが750MHz以上の帯域幅を持つ。

・もっとも人気があるデジタル・サービスは,デジタル・ビデオと高速データ。調査対象となったケーブル・システムの86%は,現在デジタル・ビデオ・サービスを提供しており,78%がケーブル・モデム・サービスを提供している。

・投資家からの負債レベルの低下とインフラ・アップグレードの進展に対する圧力により,2003年における米国のCATV業界の資本的経費は,前年の133億ドルから117億ドルに低下すると予測される。

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