米EMCと,日立製作所およびその米国法人Hitachi Data Systems(HDS)社/Hitachi Computer Products(HCP)社とのあいだで争っていたストレージ技術に関する特許侵害訴訟が和解に達した。EMC社と日立がそれぞれ現地時間3月4日に明らかにしたもの。これにより両社は今後5年間,それぞれの特許を互いにライセンス供与する。
和解条件にしたがい,日立はクロスライセンスの差額分として,EMC社に対し対価を支払う。なお金額やこのほかの契約条件については,明らかにしていない。
この特許侵害訴訟は,日立とHDS社に特許を侵害されたとして,EMC社が2002年4月11日に国際貿易委員会(ITC:International Trade Commission)とマサチューセッツ州米連邦地裁に提訴したことが発端である(関連記事)。ITCでは,審理開始を2003年3月10日に予定していた。それに対し日立とHCP社は,2002年4月17日にEMC社を特許侵害で同地裁に提訴した。
今回各社が和解したことで,これら提訴で問題とされていた特許はすべてクロスライセンスの対象となる。このほか、EMC社と日立は,ストレージ関連APIの技術交換に関する基本的枠組みについても合意した。詳細内容の最終決定には今後数週間かかる見込みだが,EMC社は「これにより両社は,お互いのストレージ・システムを管理可能なストレージ管理アプリケーションについて,開発を促進できるだろう」と説明する。
今回の合意について,EMC社社長兼CEOのJoe Tucci氏は,「問題を解決するに当たり,当社の方針を守りつつ将来的な革新を促す形をとれたことは大変喜ばしい」というコメントを出した。「当社と日立の顧客はそれぞれ両社の情報ストレージ技術を必要としている。今回の真の勝利者は顧客であろう」(同氏)
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