米IBMと米ミシガン州立大学(MSU)のEli Broad College of Businessは米国時間2月26日に,共同でSCM(Supply Chain Management)の研究センター「Center for On Demand Supply Chain Research」を立ち上げる計画を明らかにした。SCMやロジスティクスに取り組んでいるMSUのBroad Schoolに開設する。

 同センターでは,IBM社の「Websphere」「AIX」などのソフトウエア,サーバー機「eServer」,ストレージ技術を用い,オンデマンドのサプライ・チェーン構築のモデリングと解析に向けた環境を提供する。Broad Schoolの大学院生と教職員が同センターで,動的な情報フローに焦点を当てたSCMプラクティスの調査,シミュレーション,テストを行う。Broad Schoolの研究成果はIBM社などの企業のサプライ・チェーン構築に役立てられる。

 オンデマンド戦略を進めるIBM社にとって,SCMは重要だ。IBM社Integrated Supply Chain部門上級バイス・プレジデントのBob Moffat氏は,「オンデマンド事業を進めるには,サプライ・チェーンを効率化し,柔軟性を高め,当社の製品や在庫状況に動的に対応できるようにする必要がある。提携ネットワーク全体に管理を行き渡らせることによって,より機敏な対応が可能となる」と説明した。

 Center for On Demand Supply Chain Researchが完成したのち,IBM社はグリッド・コンピューティングを用いて,SCMを専門分野とする他の提携学術機関と同センターをつなぐ計画である。実働段階では,グリッド接続された学術機関同士で共同研究を行ったり,必要な情報を教え合うことができる。

 ちなみにIBM社によると,同社は2002年に,SCMの強化により約53億ドルのコスト削減を達成したという。同時に,「ハードウエアの品質向上,製造期間の短縮,納期の厳守,決済処理の効率化も実現できた」(IBM社)。

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