米Microsoftは,「Microsoft Windows XP Peer-to-Peer Software Development Kit(SDK)」のベータ版とIPv6対応ネットワーキング・スタックの強化版を公開した。Microsoft社が米国時間2月26日に明らかにしたもの。

 Windows XP Peer-to-Peer SDKを使用すると,開発者はPtoPインフラを利用して,企業および消費者向けの分散型アプリケーション/サービスを開発できる。同SDKでは,拡張可能なPtoP名前解決,効率の良い多地点通信,永続的なPtoPグループの作成/管理,分散データ管理といった機能に対応するため,Windows XPのAPIを更新している。

 「同SDKのAPIを使うことで,PtoP用の低レベルな仕組みを実装する作業に煩わされず,アプリケーション作成に注力できるようになる」(Microsoft社)

 また強化版のIPv6スタックは,NAT TraversalとIPv6ファイアウオールに対応する。そのほかに,既存のIPv4対応ネットワーク/NAT機器を使ってIPv6通信を実現する自動トンネリング技術も使用できる。同IPv6スタックによりユーザーは,インターネットに接続するNAT機器を手動で設定することなく,プライベートIPアドレスを割り当てたパソコンのあいだで通信を行えるようになる。

 「このIPv6スタックが,現在PtoPアプリケーションの利用を阻んでいるNAT機器の制約から開発者を解放する」(同社)

 なおWindows XP Peer-to-Peer SDKのベータ版では,あらゆるPtoPアプリケーションの通信でIPv6を使用しているという。

 Windows XP Peer-to-Peer SDKのベータ版は,同社のMSDNサイトからダウンロードできる。同SDKの最終版と関連するWindows XP Peer-to-Peer機能のアップデートは,2003年後半に利用可能になると見込む。

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