米Fonixがフランスのカンヌで開催中の「3GSM World Congress」で現地時間2月20日に,安全で使いやすいモバイルおよび無線機器を目指す「My Voice, My Device」構想を発表した。同社の音声認識製品から成るスイート「VoiceCentral Suite」を用いて同構想の実現を図るとしている。

 Fonix社のRolf-Juergen Bruess氏は,「モバイルおよび無線機器でインターネットや他の情報システムに,どこからでもアクセスできるようになったが,その使い易さは健康体の人しか実感できない」と指摘する。「スタイラス・ペンやT9方式のキーを使った入力は非実用的だ。音声認識によるアクセスこそ自然で,モバイル機器に必要なインタフェースである」(Fonix社)

 VoiceCentral Suiteには,音声命令によるダイヤル発信を可能にする「VoiceDial 1.2」が含まれる。VoiceDial 1.2は米Microsoftの「PocketPC Phone Edition」や「Smartphone」を搭載したモバイル機器などで利用可能。将来的には,「Symbian」と「Palm」搭載機もサポートする計画である。

 Fonix VoiceCentral Suiteは当初,VoiceDialをはじめ以下の製品で構成する。

・「VoiceEmail」:電子メールのタイトル読み上げ機能を備え,音声で「削除」「次のメール」「返信」などを選択できる。.wav形式のオーディオ・ファイルを送信することができる

・「VoiceInternet」:「お気に入り」に保存されたWWWサイトや,あらかじめ設定された100のWWWサイトに音声でアクセス可能。「戻る」「進む」やリンク先への移動も音声命令で実行できる

・「VoiceCalendar」:スケジュールの詳しい日程,時間,場所を音声でカレンダに記録できる。連絡先データベースに掲載されている人物であれば,約束の相手を特定することも可能

 VoiceCentral Suiteの製品は,2003年春~夏にリリースする。すでに利用可能な製品もある。全製品で英語(英国英語を含む),ドイツ語,フランス語,スペイン語をサポートする予定。それ以外の言語についても対応を検討しているという

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