米Gartnerは米国時間2月20日に,インターネットを介した請求書の支払いに関して調査した結果を発表した。それによると,2003年にオンラインで請求書の支払いを行う米国の成人消費者はおよそ38%増加して,4000万人に達する見通しだという。そのため,銀行は競争力を保つために,オンラインの支払い機能を最優先事項にする必要があるという。

 「2003年には,オンラインのフィナンシャル・アプリケーションで請求書に対するオンラインの支払いが急成長する。銀行は,請求書の閲覧と支払いにおいて顧客を獲得するために,請求主と激しく争うことになるだろう。成長が見られるほとんどのオンライン支払いサイトは,顧客が請求書を閲覧しているサイトと同一である。」(Gartner社副社長兼リサーチ・ディレクタのAvivah Litan氏)

 同社が2002年9月に1000人を越える成人にオンラインで調査を行った結果,79%が請求書を請求主のサイトで閲覧すると回答している。銀行のコンソリデーション・サービスを通じて請求書の閲覧をしているのは10%だった。

 「消費者が請求主のサイトに集まるのは,請求書が容易に閲覧できるのとサービスが無料で提供されるのが理由。銀行が支払い関連の売り上げを増加させるためには,顧客を引き寄せて保持するために,オンラインの支払いアプリケーションにおいてより多くの価値を提供しなければならない。これに成功すれば,2003年中に利益を生むようになるだろう」(同氏)

 銀行は,対応が速く,信頼がおける顧客サービスを提供し,顧客が容易に自分の支払い記録を追跡できるようにしなければならないが,競争力を保つためには,最初に顧客を引きつけることが重要だという。

 「取引き銀行に登録してオンラインの支払いを始めた顧客がその銀行で支払いを続ける可能性は2倍以上である。支払いの詳細と支払い先の設定と自動化を行った顧客は,他の銀行でもう1度同じ手続きをしたいとは思わない」(同氏)

 2002年9月の調査によれば,消費者の45%がオンラインの支払いは時間の節約のため,と回答しており,10%が経費の節約を主な理由として挙げている。またオンラインで請求書を閲覧していない消費者の3分の1は,サービスが無料だったら利用すると答えている。同社は,銀行にディスカウントや無料トライアル・サービス期間を設けることを勧めている。

 同氏によれば,米国の成人でオンライン・バンキングを利用しているのは16%に過ぎず,オンラインの支払いを利用しているのはたった15%なので,同市場には大きな可能性が存在しているという。

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