「企業はCRM支出を増やしているにも関わらず,消費者からの電子メールによる問い合わせにうまく対応できずにいる。そのため結局は,電話を使った顧客対応が増える」。米Jupitermediaの調査事業部門であるJupiter Researchが米国時間2月20日に,CRM支出や消費者対応サービスに関する調査結果を発表した。

 調査によれば,消費者の88%が「電子メールを使った問い合わせに24時間以内に返答してもらいたい」と考えているのに対し,これを達成できている企業は全体のわずか54%だけだったという。「CRM支出は増え続けているのに,この割合は2001年と同じだ」(Jupiter Research社)

 Jupiter Research社上級アナリストのDavid Daniels氏は,「現時点で電子メールを使った顧客サービスにしっかり取り組まない企業は,将来高額の顧客サービス経費をつぎ込んだとしても,収入を失うことになるだろう」と指摘する。

 「この問題は,問い合わせ電子メールの増加に比例して悪化する。2001年に10億件だった電子メールによる問い合わせは,2008年に33億件まで増える見通しだ。オンライン・チャネルにおける不適切なサービスは,電話を使う顧客の割合を増やすだけだ。電子メールによる顧客サービスを効率的に管理できない企業は,WWWサイトを訪れる消費者を電話サポート・センターに直接導いた方がよい」(同氏)

 CRM支出に関する調査結果の主な内容は以下の通り。

・オンラインCRM技術に対する支出は,2003年に23億ドルだったが,2008年には47億ドルに増加し,全CRM支出(189億ドル)の25%を占めるようになる

・CRM市場における支出増加の要因は,コンタクト・センター担当者が増え続けることにある

・今後も金融サービス企業が最も多額のコストをCRMに費やす。2003年に34億ドルと予想される支出額は,2008年に59億ドルまで増加し,全CRM支出の31%に相当する

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