Internet2の基幹伝送網構築プロジェクト「Abilene」は,プロジェクトが開発している同名の基幹伝送網をアップグレードし,運用開始したと米国時間2月17日に明らかにした。2003年後半にAbilene全体のアップグレード作業が完了すると,通信容量は10Gbpsと現在の4倍になり,ネットワークの総延長距離は1万3000マイル(約2万921km)に達する。
Internet2とは,全米の大学が参加する次世代インターネットのプロジェクトである。研究・教育用の高速インターネット・インフラを提供し,その上で最新のインターネット技術や高度アプリケーションを活用・研究する。Internet2の参加大学のうち,ボード・メンバーとして選出された大学で構成する非営利組織UCAID(The University Corporation for Advanced Internet Development)」が運営と企画を担当している。Abileneは,Internet2プロジェクトで利用する基幹伝送網である。
「Abileneでは,ハイビジョン(HDTV)画質ビデオの非圧縮転送,山頂に設置した望遠鏡や電子顕微鏡など科学装置の遠隔操作,仮想現実を利用した共同活動,グリッド・コンピューティング――など,全米規模でアプリケーションを試験運用できる」(Internet2)
今回Abileneをアップグレードするにあたり,米Qwest Communications International,米Juniper Networks,米インディアナ大学が装置やサービスの提供を行った。
「Abileneをアップグレードすることで,225以上あるInternet2メンバー大学や研究センターに所属する科学者/教師/学生が,回線速度のネイティブIPv6や拡張可能なマルチキャスティングなど高度なネットワーク機能を利用可能となる。こうした機能は,現在の商用インターネットではうまく動かないかまったく動作しない先進的なネットワーク・アプリケーションに欠かせない」(Internet2)
現在アップグレードした回線は,ワシントンD.C.からニューヨーク市,シカゴ,カンザス・シティ,サニーベールを経由してロサンゼルスに到達している。
◎関連記事
■全米がつながった,Internet2の基幹伝送網「Abilene」が50州をカバー
■Internet2の超高速バックボーン、初の公開デモを実施
■Internet2、QoS用テストベッド“QBone”構築へ
■次世代インターネット(キーワード3分間講座)
[発表資料へ]