米IBMは企業の無線サービス導入を支援する参照アーキテクチャ「Wireless Enterprise Delivery Environment」を,フランスのカンヌで開催中の「3GSM World Congress 2003」で現地時間2月17日に発表した。

 「同参照アーキテクチャにより,標準規格ベースのインフラ構築を促進する。企業やサービス・プロバイダは,さまざまな異なる機器に情報を動的に配信できる。新たな無線アプリケーションの導入を加速化することで,モバイル・ユーザーも視野に入れたオンデマンドのe-businessを実現できる」(IBM社)

 Wireless Enterprise Delivery Environmentでは,無線ネットワークと企業のシステムを接続するための枠組みを構築し,新たな無線アプリケーションの開発と導入の共通プラットフォームに必要なインフラ構成を判断する。モバイル・セールス,現場作業支援(Field Force Automation),電子メール・アクセス,資産監視,SCM(Supply Chain Management),mコマースなどの展開を視野に入れる。

 Wireless Enterprise Delivery Environmentでは,ノースカロライナ州ラーレイとフランスのラゴードにあるIBM社の無線開発研究所「Wireless Enterprise Lab」を利用する。IBM社は両研究所をパートナ企業に開放し,同社や他社のソフトウエアとハードウエア部品の組み合わせをテストする環境として提供する。Wireless Enterprise Delivery Environmentは,ネットワーク事業者向けソリューション「Service Provider Delivery Environment」と密に連携する。

 またIBM社はフィンランドのNokiaと,無線ソリューションの開発と導入に関して協力することを明らかにした。Nokia社の無線端末「Nokia 6800」「Nokia 9210i Communicator」「Nokia 7650」などを対象とする。両社はIBM社のWireless Enterprise Delivery Environmentとインフラ・ソフトウエア「WebSphere」,Nokia社の企業向け無線端末を用いたデモンストレーションを3GSM World Congress 2003で実施する予定である。

 そのほか,IBM社は「WebSphere Everyplace Access」クライアントを英Symbianのプラットフォームに対応させる計画や,プロバイダ向けソリューション「Rapid IP Services for e-business Solution」の拡張内容についても同日発表した。

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