米NanoAmp Solutionsが米国時間2月12日に,Java 2, Micro Edition(J2ME)ソフトウエア用アクセラレータ「Memory Oriented Coprocessor Accelerator technology for the Java platform(MOCA-J)」を発表した。「メモリーに似たインタフェースを備えているので,無線ハンドセットへの迅速/容易な組み込みが可能で,J2MEソフトウエアの実行速度を最大20倍高速化できる」(NanoAmp社)

 MOCA-Jアクセラレータについて,同社では「メモリーとプロセサ技術を単一チップに封止した『SMARTcombo』メモリーの一種」と説明する。「MOCA-Jを使用すると,無線ハンドセットの設計者は,メモリー容量を増やすのと同程度の作業負荷で製品の性能を飛躍的に高められる」(NanoAmp社販売/マーケティング担当副社長のWarren Fondrie氏)

 同アクセラレータは,あらゆるタイプのSRAM/擬似SRAM(PSRAM)/フラッシュ・メモリーと組み合わせて使用できるという。「Java仮想マシン(VM)仕様で定義されている227個あるVM命令(バイトコード)のうち,206個を1クロック・サイクルで直接実行できるので,ハンドセットのプロセサを使うソフトウエアで実行するより高速な処理が可能」(同社)

 同社は,「MOCA-Jにはバイトコードの直接実行,内蔵キャッシュ,ハンドセットのプロセサよりも高い動作周波数という特徴があり,ソフトウエアだけで実装したJava VMに比べ,J2MEおよびモバイル機器向けプロファイルMobile Information Device Profile(MIDP)対応ソフトウエアを高速に処理できる」としている。「マルチメディアやデータ処理のアルゴリズムは数100倍高速になり,アプリケーションの全体的な速度は最大20倍速くなる」(同社)

 さらに,バイトコードを高速かつ効率よく実行できる上,チップに内蔵した消費電力制御機能のおかげで,バッテリ動作時間が短くなることはないという。

 MOCA-Jアクセラレータを組み込むに当たり,システム・ソフトウエアはJava VMソフトウエアを修正するだけで済む。そのためメーカーは,既存の設計,システム部品に関する経験/投資,OS/アプリケーション・ソフトウエア,開発ツールをそのまま利用できる。

 「無線ハンドセットの設計者やメーカーは,低価格のJ2MEソフトウエア高速化ソリューションを,あらゆるハンドセットの設計に追加回路を設けず素早く組み込める」(NanoAmp社上級マーケティング・マネージャのRon Stein氏)

 MOCA-Jアクセラレータは,現在ダイ形態のサンプル品を提供している。パッケージに封止した量産品は2003年第2四半期に利用可能とする予定。MCPにMOCA-Jアクセラレータを組み込んだ場合,MCPのコスト増加は5ドル未満で済むと見込む。MOCA-J内蔵SMARTcomboメモリーMCP製品の正式な価格とリリース時期については,後日発表する。

◎関連記事
NokiaがLinuxコミュニティ向けにJava対応端末のアプリケーション開発ツールキットを発表
米モトローラ,J2MEに向けアプリケーション提供とトレーニング講座開設を発表
米IFSと米IBMが次世代モバイル業務ソリューションで提携,J2MEとWebサービスを活用
独シーメンス,J2ME対応のアプリケーション開発ツールキットを発表
米OracleがJ2ME開発向けツールキットの無料配布を開始,Java対応の無線デバイスと企業の橋渡し
米ボーランドがJ2ME対応モバイル・アプリ開発ツール「JBuilder MobileSet 2.0」を発表
米サンが携帯電話やPDA向けJ2MEプロファイルの新版「MIDP 2.0」をリリース
「Java携帯が後押し,VM市場は2005年まで年平均83.5%で急成長」,米社の調査

[発表資料へ]