「安価で信頼のおけるIEEE 802.11b技術にけん引され,2002年は無線LAN(WLAN)機器にとって非常によい1年になった」。米In-Stat/MDRが米国時間2月12日に,Wi-Fi対応WLAN機器市場に関する調査結果を発表した。それによると,2002年における企業でのWi-Fiハードウエア購入数は1160万台で前年比65%増,家庭での購入数は680万台で前年比160%増という大幅な伸びを示したという。しかしIEEE 802.11b機器の価格が急速に低下した影響で,2002年は22億ドル,2001年は18億ドルと前年比23%増にとどまった。

 この調査は,IEEE 802.11b/同a/同gに加え,2.4GHz帯/5GHz帯デュアル・バンド対応機器などの世界における出荷状況を調べたもの。

 In-Stat/MDR社上級アナリストのGemma Paulo氏は,「2002年において,企業のあいだでは相変わらずセキュリティが最も問題視されているのに対し,家庭市場ではマルチメディア対応が置き去りにされていることが(WLANの)アキレス腱だ」と述べる。

 「2003年は,2.4GHz帯/5GHz帯デュアル・バンド対応機器の出荷数増加の継続,米Intelのモバイル技術Centrinoのリリース,2.4GHz帯WLAN技術が好まれることによるIEEE 802.11gへの移行,新しい企業インフラ技術の登場――といった要因がすべてWLAN市場の拡大に働きかけるだろう」(同氏)

 そのほかの主な調査結果は以下の通り。

・2002年には新しいタイプのハードウエアが数多く登場した。そうしたタイプの機器には,IEEE 802.11a対応ネットワーク・カード(NIC)およびアクセス・ポイント(AP),2.4GHz帯/5GHz帯デュアル・バンド対応NICおよびAPがある。さらに同年終盤になって,まだ正式に規格が固まっていないIEEE 802.11g対応製品もわずかではあるが販売された。

・垂直市場が企業によるハイエンド製品購入の大半を占める状況に変化はない。しかし,ローエンド・インフラ装置の導入が,これまで以上に多くの小企業や,中規模/大規模企業の遠隔地オフィスまたは小さな部門で進んでいる。

・2002年にはノート・パソコンへのIEEE 802.11b機能内蔵の割合が増加し,企業向けNIC出荷台数の14%に達した。ちなみに2001年の割合は2%だった。

・小売店およびオンライン・ショップではローエンドのルーター兼AP機器およびNICの売上が好調で,これが小企業および家庭/SOHO向け世界市場の拡大に寄与した。アウトレット店などでは,積極的にWi-Fi機器を割引販売していた。

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