米Motorolaは,2003年2月16~20日にカリフォルニア州モントレーで開催される2003 IEEE Non-Volatile Semiconductor Memory Workshopで,組み込み用不揮発性メモリー向け技術を発表する。Motorola社が米国時間2月11日に明らかにしたもの。

 Motorola社半導体製品部門とその研究者らは,シリコン酸化窒化酸化シリコン(SONOS)およびナノ結晶シリコン製メモリーについて,モデリング/プログラミング/局所電荷ストレージに関する4件の論文の発表を予定している。

 この発表は「薄膜ストレージ」と呼ぶ技術に関するもの。同技術は,現在普及している浮遊ゲート・フラッシュ・メモリーの後継技術に相当するという。「薄膜ゲート・フラッシュ・メモリーを現在より微細化するのは難しい。それに対し薄膜ストレージでは,より小型で信頼性が高く,強力でありながら消費電力が少なく済むメモリーを実現できる可能性がある」(同社)

 浮遊ゲート技術を使ったフラッシュ・メモリーは,現在組み込み用不揮発性メモリーで広く利用されている。しかし,製造プロセス・ルールが90nm以下になると,同技術の使用は現実的でなくなるという。

 「このようなサイズの浮遊ゲート方式メモリーでは,データの書き込みと消去のために9Vから12Vという高電圧トランジスタに多くの面積が必要となり,価格が高くなる。メモリー・エラーやデータ喪失の恐れがあり,浮遊ゲート方式で信頼性を損なわず高電圧部分を小さくすることはできない」(同社)

 薄膜ストレージ方式の不揮発性メモリーでは,ポリシリコン製ゲートの下に形成する2つの絶縁酸化皮膜のあいだに電荷を蓄えて,メモリー・ビットを保存する。SONOSは,窒化シリコン内で電子を捕捉するトラップに使う技術である。またナノ結晶シリコンは直径50オングストロームの球形をしており,Motorola社はこのナノ結晶を既存の装置で塗布する技術も開発した。

 薄膜ストレージの有利な点は,窒化トラップまたはナノ結晶が電荷を保持するよう設計されており,電荷がほかのストレージ領域に移動するのを阻止することにあるという。「単一の酸化欠陥はこれまで浮遊ゲートにあったような電荷の損失を起こさないので,信頼性が向上する」(同社)

 Motorola社は論文を発表する際に,メモリーの性能を改善すると同時に使用電圧を6Vに低減/メモリー素子の小型化/消費電力削減したことについて解説するとしている。

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