日米欧の大手コンピュータ企業/通信会社で組織する業界団体,米Computer & Communications Industry Association(CCIA)は,米Microsoftを欧州競争法の違反で欧州委員会に正式に提訴した。CCIAが,現地時間2月11日に明らかにした。

 提訴は,同社の欧州競争法に対する違反に焦点を当てたもの。Microsoft社が独占的支配を続け,今後も影響を与えるであろう市場における競争を復活させるために,同委員会に介入を求めている。

 「Windows XPは,欧州競走法に違反している。この提訴は,現在も同社の戦略の中心として残っている数々の反競争行為の詳細を包括的に訴えたものである」(CCIA会長兼CEOのEd Black氏)

 申し立てでは,PCオペレーティング・システム,ブラウザ,PPA(personal productivity application)市場において,同社がどのように市場の独占的な地位を乱用し,さまざまな反競争的行為を行っているかを説明しており,EC条約82条に違反していると指摘している。同社の独占は市場の競争を奪い,他のさまざまな重要な技術市場でもその有利な地位を利用する可能性があるとしている。

 CCIAが競争が阻害される恐れがあるとした市場は次の通り。

・オーディオ/ビデオ・ストリーミング,再生ソフトウエア(デジタル著作権管理ソフトウエアを含む)
・電子メール・クライアント・ソフトウエア
・インスタント・メッセージング・ソフトウエアとサービス
・サーバー・オペレーティング・システムのソフトウエア
・認証サービス
・消費者向けインターネット・ポータル
・Webサービス
・ハンドヘルド・コンピューティング・デバイス向けオペレーティング・システムとアプリケーション・ソフトウエア
・スマート・フォンのオペレーティング・システムとアプリケーション・ソフトウエア
・サーバー・アプリケーション(特にメール・サーバーとメディア・サーバー・ソフトウエア)

 「10年以上に渡り,Microsoftの独占力と反競争的な行為が,抑制されることなく行われてきた。消費者が,より幅広い製品,サービス,技術によって恩恵を受けることができ,Microsoftの支配力に挑戦する可能性があるならば,行動に移さなければならない」(同氏)。

 過去8年間に渡り,CCIAは同社の反競争的行為の調査を行っており,2001年の米司法省対Microsoftの独占禁止法違反の控訴で司法省の歴史的勝利のサポートに重要な役割を果たしている。

 判定は,同年夏に発表されると予想されている。

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