米GartnerのDataquestは,ITアウトソーシング業界に関する調査結果を発表した。2003年はITサービス業界にとって困難な年となっているが,ITアウトソーシング業界は,アプリケーション・サービスをけん引力として成長を見込んでいる。

 2002年に36のアウトソーシング・ベンダーを対象に実施した調査結果では,2003年にもっとも成長するサービスは,オフショア・アプリケーション管理だと回答している。次にニアショアのアプリケーション管理が続いている。もっとも低いコストに注目しているため,オフショア・アウトソーシングの採用が増加している。これは主にアプリケーションだが,事業プロセス・アウトソーシング(BPO:Business Process Outsourcing)やITインフラ管理も採用が進んでいるという。

 オフショアのアウトソーシングは,過去1年で増加している。安い労働力を提供する手段としてこの先2年間も引き続き増加するとみられる。同社は,サービス・ベンダーが,オフショア企業との提携とともに買収機会を求めていると分析している。

 労働力が安い国がアプリケーション・サービスで注目を集める一方で,ITインフラのアウトソーシング活動が世界で大規模に広がっている。2002年末の時点で,総額284億ドルの14の大規模な取引が行われている。2001年には,このような取引は9件で151億ドルだった。また,少なくとも4つの大規模な契約が結果待ち状態にあり,これらの総額は,およそ153億ドルになると推測される。

 アウトソーシングの大口取引きがなくなる,という懸念があったが,2002年には平均より上の契約は10億ドル以上の規模だった。10年契約はもはや標準ではなく,数十億ドル規模の契約,ベンダーの提携がより一般的になってくるという。

 2002年に,14の大口契約の内,7件をIBM,8件目はKeaneと共通で締結した。CSCが1件,EDSが2件獲得しているが,両社は現在別の取引きの交渉で最終段階を迎えている。HPと富士通は最初の大口取引き,CGIが3件を獲得している。

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