米META Groupが米国時間1月29日に,エネルギー業界向け作業管理システム(Work Management Systems:WMS)市場に関する調査結果を発表した。それによると,「現在北米では1年間で3億5000万ドルから4億5000万ドルがWMSに対し投資されている」(META Group社エネルギー情報戦略サービス担当副社長兼ディレクタのRick Nicholson氏)という。

 「今後2年間は年率15%から20%のペースで拡大し,同市場の規模は10億ドルから13億ドルの範囲になるだろう」(同氏)

 同市場では,エネルギー関連会社がプラントに関する作業や資産の管理などを行うためのシステムを扱う。作業の内容は,建設,検査/保守,サービス依頼など多岐にわたる。META Group社では,「エネルギー業界は改めて自社業務の基盤強化を図るので,現行および計画中の対WMS投資金額を増加させる」と予測している。

 META Group社は,同市場でWMSを提供しているベンダー9社を対象に調査を実施した。主な内容は以下の通り。

・作業管理/サプライ・チェーン/モバイル従業員管理など関連する幅広い機能を提供しているベンダーが,今後この市場をリードする。

・WMSを導入する側の企業は,プロジェクトの範囲に限られた狭い判断基準や単なる機能比較でシステムを選択するのではなく,“事業の要件や戦略に一致しているか”という点を基準にする必要がある。

・現在同市場でリーダーと呼べるベンダーはドイツのSAP AGだけである。しかし,SAP社の製品を純粋にWMSとして選択した企業はごくわずかで,ほとんどが財務/人事/CISなどWMS以外の企業アプリケーションとみなしている。

・SAP社以外のベンダーはWMSのうち一部領域に特化したシステムを提供しているが,その領域は急速に広まっている。こうしたベンダーには,Indus社,英Logica,Mincom社,米MRO Software,米Oracle,米Severn Trent Systemsがある。

・システム選択において現在のところベンダーの認知度と実績はほぼ同じくらい重要だが,市場が成熟すると実績よりも認知度の方がより重要になる。

・同市場では大企業向けソフトエアやサービスを手がけるベンダーが,小さなニッチ市場向けベンダーを買収することで,統合/再編の動きが今後も続く。

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