米E Inkは,電子ペーパー・ディスプレイに関する技術について30件目の米国特許を取得したと米国時間1月27日,発表した。同社はさらに150件以上の特許を申請中という。

 「当社が電子ペーパーを創造するという画期的なコンセプトを携え1997年にスタートして以来,研究者らは革新を続け,豊富な特許の“品揃え”を作り上げた。この分野で当社が唯一の存在であることに疑いはない」(E Ink社社長兼CEOのJim Iuliano氏)

 電子ペーパーを使ったディスプレイは,紙のように薄くて軽いという特徴を持つ。表示する画像は明るくコントラストが高い上,直射日光が当たる環境を含めあらゆる照明のもとで読み取れるという。さらに,照明や見る角度を選ばないので,紙と同じように使えるとしている。E Ink社ではこうした理由を挙げ,「電子ペーパーはモバイル環境に最適」と説明する。

 また,液晶ディスプレイ(LCD)や有機LEDよりも薄く軽量に作ることが可能で,消費電力を大幅に削減できるという。

 E Ink社は,電子ペーパーに使用する電子インクの開発/製造に欠かせない特許に加え,ディスプレイ用ハードウエアおよびソフトウエアの設計/製造/利用に関する特許も保有している。「そのなかでも,特別薄く折り曲げたり伸び縮みさせたりできるハンドヘルド機器や,電子ペーパーに応用可能な柔軟性のあるディスプレイ技術が特に重要」(同社)

 現在E Ink社では,「ハンドヘルド/ウエアラブル機器,標識や看板など向けの電子インク・ディスプレイを開発している」(同社)。さらに同社とパートナは,カラー表示可能なものや,スマートカード/電子ペーパーなどで利用可能なディスプレイの研究/開発も進めているということだ。

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