「ピア・ツー・ピア(P2P)ネットワークでは,これまでのMP3の交換を越えて,人気家族ドラマ『Sopranos』の最新エピソードから,人気ビデオ・ゲームまで,あらゆるものの交換されるようになっている」。米Websenseが米国時間1月23日に発表した。

 コンテンツの多様化は,新しいP2P型WWWサイトとアプリケーションの構築をけん引するばかりでなく,世界の企業にとって,帯域幅,法律,セキュリティの問題を生じさせる要因となる。過去12カ月でP2P型のファイル共有WWWサイトのページ数は300%増加し,8万9000ページを越えるページが存在している。さらに,「KaZaa」,「Grokster」などのユニークなP2Pアプリケーション数は130を越える。

 「P2Pネットワークは,音楽交換を越えるものに発展し,ユーザーがビデオ,ゲーム,ソフトウエア・パッケージを交換する場となっている。エンド・ユーザーにとっては無償でも,企業にとっては帯域幅の無駄遣い,セキュリティ・ホール,深刻な法的問題として莫大な出費につながる」(同社の主任技術オフィサーのHarold Kester氏)

 Jupiter Media Metrix社によれば,多くの従業員は会社のインターネット接続を利用してP2Pファイルをダウンロードしているという。これは,家庭で高速インターネット・アクセスを持つ米国人の割合が17%以下と低いことを要因として挙げている。たとえば,会社の高速接続を使えば,映画1本がおよそ1時間でダウンロードできる。一般的に家庭で使われている56Kのダイヤルアップ接続で,同じファイルをダウンロードすると23.5時間かかる。しかしCIO社の調査によれば,このような問題を抱えながらも企業の65%が音楽やビデオのダウンロードを監視していないという。

 「多くの企業ユーザーは,オンラインで音楽を聞いたりストリーミング・メディアをデスクトップ上で見ることに関連したITリソースの消費に対してまったく無知である。安全ではないグリッド・コンピューティングを通して獲得したアプリケーションや,P2Pプロトコルは,ウイルスや悪意を持つコードのスキャンを行うことなく企業環境に入り込んでくる」(IDCのアナリストBrian Burke氏)

 また,いったん企業ネットワーク上に保存されたP2Pファイルは,法律問題に発展する可能性がある。この問題は,日々深刻さを増しており,IDCによれば,ほとんどの新しいコンピュータにはCD/DVDバーナーが付属しているため,従業員が企業の資産を使ってダウンロードしたビデオや音楽をディスク上に焼きつけた場合に,新しい法律の境界を越える可能性があるとしている。

 先ごろ,米レコード協会(RIAA)と米映画業界の団体Motion Picture Association of America(MPAA)とその他の団体が,米国の1000社の企業のCEOに対して,「企業ネットワークを利用して従業員が音楽や映画を違法にダウンロード,保存,配信した場合に,企業が著作権法違反の賠償責任を負う可能性がある」と警告している。RIAAは,アリゾナに拠点を置く企業に対して,企業のサーバー上に違法なMP3ファイルを保存していたとして告訴しており,10億ドルで和解している。

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