米IBMは,PDAやハンドヘルド機器などの消費者向け電子製品でLinuxとJavaを利用可能とするための技術を米国時間1月21日に発表した。IBM社は,マイクロプロセサ「IBM PowerPC 405LP」に米MontaVista SoftwareのLinuxカーネル「MontaVista Linux Consumer Electronic Edition(CEE)」などを統合した参照設計を提供する。これにより,「メーカーは最終製品を迅速かつ容易に作れるようになる」(IBM社)という。

 「モバイルの世界では,技術や企業情報へのアクセスにパソコン以外の製品を使う機会が次第に増えるだろう。当社の提供する参照設計により,堅牢かつ高効率なアクセス手法を消費者向け電子製品に応用できる」(IBM社MicroelectronicsのPower PC/新規製品担当ディレクタのLisa Su氏)

 低消費電力の組み込み用プロセサPowerPC 405LPに,IBM社のミドルウエア「IBM Power Manager」とMontaVista Linux CEEを組み合わせることで,プロセサとメモリーによる消費電力を約50%削減できるという。「システム全体に換算すると,20%の省電力に相当する」(同社)

 また企業向けおよび消費者向けの両アプリケーションに対応するために,J2ME(Java2 Platform, Micro Edition)認定Java Runtimeプラットフォーム「WebSphere Micro Environment」も用意する。その結果,マルチメディア,データ接続,音声/手書き文字認識も利用可能となる。

 企業市場の要求に応えるため,IBM社の「Service Management Framework」「DB2 Everyplace」「Tivoli Device Management」のほか,ライフサイクル管理やエンタプライズ・コネクティビティに向けたソフトウエアも参照設計として用意する。さらに,ノルウェーのTrolltech ASのモバイル・オフィス・アプリケーション・スイート「QTopia」と,ノルウェーのOpera SoftwareのWebブラウザも提供するという。

 IBM社は,この参照設計を2003年第2四半期に利用可能とする計画を立てている。PowerPC 405LPのサンプル品はすでに同社から入手可能で,量産品は2003年第3四半期に提供する予定。また,MontaVista Linux CEEは第1四半期に利用可能になると見込む。そのほかのソフトウエアについては,すでに利用できる状態にある。

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